内容説明
ライザ・ラードナー、警視庁特捜部付警部にして、元テロリスト。自らの犯した罪ゆえに、彼女は祖国を離れ、永遠の裏切り者となった。英国高官暗殺と同時に彼女の処刑を狙うIRFには“第三の目的”があるという。特捜部の必死の捜査も虚しく、国家を越える憎悪の闇が見せる最後の顔。自縄自縛の運命の罠にライザはあえてその身を投じる…過去と現在の怨念が狂おしく交錯する“至近未来”の警察小説第二弾。
著者等紹介
月村了衛[ツキムラリョウエ]
1963年生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。2010年に『機龍警察』で小説家デビュー。2012年に『機龍警察 自爆条項』(以上、ハヤカワ文庫JA刊)で第33回日本SF大賞、2013年に『機龍警察 暗黒市場』(ハヤカワ・ミステリワールド刊)で第34回吉川英治文学新人賞、2015年に『コルトM1851残月』(文春文庫刊)で第17回大藪春彦賞、『土漠の花』(幻冬舎文庫刊)で第68回日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のり
91
過去の罪を背負い、己を律して職務を全うする「ライザ」の心痛が重くのしかかる。「鈴石緑」との関係も大きな幅をもたらす。理解と反感は同居する。ライザ自身も仮面の下の素顔がちらほら…IRFと中国組織、さらに見え隠れする敵。龍機兵を相手にする犯罪グループの戦闘力と戦略も凄い。次作は「ユーリ」の過去が明らかになるのか楽しみ。2019/12/18
ぶち
85
(再読)(完全版は初読)(上下巻まとめての感想) ページ数だけではなく、その内容もボリューミー! まるで「ライザの半生」と「警視庁特捜部の闘い」という2冊の良質な小説を読んだような満足感。ライザの不遇な幼少時代、北アイルランドのテロ組織IRFの"死神"と呼ばれる処刑人になる経過、そしてIRFから抜け出し逃亡するこことなった出来事という過去の物語。--> コメント欄に続く2023/09/08
おかむー
66
過去編が上巻のみで済んだのでペースの上がった下巻。『たいへんよくできました』。物語の核としてはある意味ネタバレなタイトルなので驚きは少ないが、積み重ねた断片を沖津がクライマックスで一気につなげて見せる爽快感はこのシリーズの肝。緊張感に満ちる首都高での機甲兵装戦はなかなかにじれったくもあるのだが、一世代先行した龍機兵とはいえ無双ではないあたりも物語の面白さか。それにしても鳴り物入りで登場したIRFの“処刑人”、“墓守”と“猟師”はともかく“踊り子”の扱いはもうちょっとなんとかならんかったのか(´・ω・`)2019/04/21
森オサム
47
下巻読了。第33回日本SF大賞受賞作。前半描かれるライザの過去は壮絶で、自分からテロリストとして活動を始め、その後組織を離れた理由が分かった。哀しい物語では有るが、そもそも一般市民を標的としたテロリストに一片の同情も感じる事は出来ず、緑さんと同じくライザには嫌悪感しか無い。で、やっと始まった現在の東京編は素晴らしく面白かった。戦闘シーンの描写やディティールも緻密で有るが、敵との読み合い、駆け引きと言った所に引き込まれる。自爆条項の意味にも痺れた。まだまだ分からない巨大な敵の目的と正体。あー、乗って来た!。2024/12/22
橘
44
下巻も面白くてぐいぐい読みました。タイトルの「自爆条項」の意味が分かったとき、「!!そんな!!」となりました。沖津さんがやっぱりかっこよくて、でもその上をいく〈敵〉…続きも楽しみです。ライザと緑のこれからもとても気になります。ライザはこれから変わっていくのかな。警察内部や、他の省庁との駆け引きはやっぱり難しくて…世界情勢も、知らないではすまされないのでしょうね。戦闘シーンのスピード感、映像化されないかな。2018/01/14