出版社内容情報
男性24905名。女性27339名。成人1029名。残存人類、52244名──第7巻のさらなる絶望
内容説明
“救世群”が太陽系全域へと撤いた冥王斑原種により、人類社会は死滅しようとしていた。シェパード号によって“救世群”のもとから逃れたアイネイア・セアキは、辿りついた恒星船ジニ号でミゲラ・マーガスと再会する。しかし混乱する状況のなかジニ号は小惑星セレスに墜落、かろうじて生き残ったアイネイアとミゲラは、他の生存者を求めてセレス・シティへと通信を送るのだったが―さらなる絶望を描くシリーズ第7巻。
著者等紹介
小川一水[オガワイッスイ]
1975年岐阜県生まれ。1996年、『まずは一報ポプラパレスより』で長篇デビュー(河出智紀名義)。2003年発表の月面開発SF『第六大陸』が第35回星雲賞日本長編部門を受賞して以降、骨太な本格SFの書き手として活躍を続けている。また、2005年の短篇集『老ヴォールの惑星』で「ベストSF2005」国内篇第1位を獲得、収録作の「漂った男」で第37回星雲賞日本短編部門を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
文庫フリーク@灯れ松明の火
130
「ーーそう、物語を必要とするのは不幸な人間」皆川博子さん『薔薇密室』の一節が痛みを伴い甦る。驚愕の前巻から、植民星メニー・メニー・シープがどこに有るのか推測できたものの、これはネタバレできない。かつて、さいとうたかをさんの漫画で『サバイバル』という作品が有った。漫画であれ、自分独りが生き残るのさえ難しいリアルさ。まして保護者もいない5万人の未成年ーさまざまな事情で2万人に減少したにせよ、自らを含めたその生命・人類生存を賭けたサバイバル。その重責を担うスカウト・ストリックス斑のメンバーたち。1巻と繋がった→2014/09/25
みっちゃん
118
ああ、やっぱり!ここが惑星ハーブCだったんだ!救世群のテロにより、生き残った人類はたったの5万人。しかも殆どが未成年ときた。地下都市ブラックチェンバーで必死に生き延びようとするスカウトの面々。人として未熟なティーンエイジャーならではの葛藤もあって、読むのが辛い場面もあった。この新世界の黎明期が、そのままアイネイア・セアキという魅力的な人物の生涯と重なるわけなのね。さあて、これでメニーメニーシープの世界と繋がったわけだけど、第1部までまだ250年くらいあるわけで、今後の展開が気になるわあ!2014/06/03
akira
43
天冥第10段。 初の新刊として購入した一冊。絶望の中で生きようとする子どもたち。ディストピア小説としても満足の一冊。 迫り来る恐怖と孤立。頼れる者がいないコミュニティの中、次第に形成される役割と責任。立ち上がった者たちに振りかかる困難と重圧。そして絶望。空想世界でありながら、それらはとてもリアルに感じられる。 誰かの犠牲の上に成り立つ生存。そのための選択。苦悩の連続のなか、しっかりと真理と向き合う一人の存在。 「『できない』を私は見るの。みんなが許そうとしないそういうところに、私は目が向く」2013/12/25
ポルコ
39
このシリーズ、読み終わるたびに感嘆の声が漏れる。死滅しようとしている人類の最後のゆりかごとして残されたセレスシティの地下世界。子供たちだけで身を寄せ合ったその混沌世界をどうにか存続させるため、あのスカウトたちが舵取りに奔走する…と書くと単純なようだけれど、文化人種の違う人が隣人として生きていく地盤を作るとはこういう事かと抉るように突き付けてくる本作。様々な角度から人の営みを見せてくれる小川さんの知識量と想像力がすごい、すごすぎる。続き行くぞ~2024/12/15
かわうそ
33
少年少女による壮絶なサバイバルと復興の物語は陰鬱ながらスケールが大きく単体として読んでも大満足の出来。ここにきてようやく話が1巻につながったものの、残り3巻で物語がどこに着地するのかは未だに全く想像できない。2013/12/30