内容説明
人は、幸福せになれるのですか?野に咲く花は幸福せであろうか?―螺旋蒐集家と岩手の詩人、ふたつの孤独な魂から成る人間、アシュヴィンは、いくつもの問を胸に、果てしなく高い山を登りつづけていた。長い修羅の旅を経て、彼がその答にたどりついたとき、世界を驚嘆させるなにかが起きる…進化とは?宇宙とは?人間とは?究極の問に対する答を破天荒な構成と筆致で描きあげた、これは、天についての物語である。
著者等紹介
夢枕獏[ユメマクラバク]
1951年1月1日神奈川県小田原市生れ。1973年東海大学文学部日本文学科卒業。1978年「カエルの死」でデビュー以来、「ねこひきのオルオラネ」など詩的なファンタジイを次々と発表。1984年、幻想と躍動感にあふれる『魔獣狩り』がベストセラーになり、新世代エンターテインメント作家として注目される。『上弦の月を喰べる獅子』にて第10回日本SF大賞を、『神々の山嶺』で第11回柴田錬三郎賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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そふぃあ
20
夢枕獏の長編初読み。読みやすくて面白かった。 宇宙は螺旋でできてるって言われたらガイナの某熱血アニメ思い出す。 俺の螺旋は、天を衝くオウムガイだ! 最後は、よく分からなかったが圧倒される。書いてるうちに物語が自分の手を離れて、ひとりでに回っているようだった。SFを離れ、仏教の混沌へ、、2019/11/02
まーぶる
14
自分はどこから来たのか、何者か、人は幸せになれるのか?問を抱えた男が答えを探すべく山の上へと目指す。縁と業、仏教や宇宙のことわり。不思議な世界をさまよい続けた先にあるものは。複雑で、読み終わってもわからないことばかりだったが、なぜかどんどん読み進めてしまった。2020/10/23
塩崎ツトム
13
悪意に満ちた世界と自分、それを俗の世界と呼ぶのだろうか?「わたしは幸せになれるのでしょうか?」幸せに向かおうとする意志。救済の世界。螺旋の向こう。すべての陽電子が崩壊し、もはや世界に満ちるのは観測不可な仮想粒子だけになったときに、世界は再生するのか。菩薩は降り立つのか?そこは完全な空で、それでいて全てが満ちている?わたしにはわからない。2023/02/27
yoshi
10
難しい説明に突き放されそうになるも、何となくイメージ出来てしまう。「問は答えである」正直、ちゃんと理解出来たとは言えないですが、仏教の世界観を感じられた気がしました。あと、説明しきれない自分のボキャブラリーの無さも痛感です… 2021/01/03
ソルト佐藤
9
わかったような、わからないような……ある意味、仏教の真髄的な答えに到達してしまう。最終的な目的となる、二つの問い。問いは答えであり、二つの問いは同じものをさす。何を言っているのかよくわからねーがのこの、難題に真正面に、ぶつかるガチンコ獏先生。マジシュート。ただ、二つ目の問いのないようにアレレ?と思ったのも事実。しかししかし、獏先生自身での解説?を読むとたしかに、あれしかない。最初からあからさまな形で、われわれはあの問いに到達できるだけの伏線はあったのだ。恐るべきや。2016/01/08