内容説明
情報工学の天才、島津圭助は花崗岩石室に刻まれた謎の“古代文字”を調査中に落盤事故にあう。古代文字の解明に没頭した圭助は、それが人間には理解不能な構造を持つことをつきとめた。この言語を操るもの―それは神なのか。では、その意志とは?やがて、人間の営為を覆う神の悪意に気づいた圭助は、人類の未来をかけた壮大な戦いの渦にまきこまれてゆくのだった。
著者等紹介
山田正紀[ヤマダマサキ]
1950年生まれ。1974年、“S‐Fマガジン”に『神狩り』が掲載されデビュー。同篇で第6回星雲賞日本短編部門、『地球・精神分析記録(エルド・アナリュシス)』で第9回星雲賞日本長編部門、『宝石泥棒』で第11回星雲賞日本長編部門、『機神兵団』で第26回星雲賞日本長編部門を受賞している。また『最後の敵』で第3回日本SF大賞、『ミステリ・オペラ』で第2回本格ミステリ大賞、第55回日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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SF・ホラー本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とも
50
★★★以前に読んだことすら忘れていて、読み始めても思い出さず、半分位に差し掛かった時になって初めて、「あれっ!読んだかも?」ってことで、読書メモを引っ張り出して初めて確認が出来たがそのまま読み続けた。当時は酷評をしていたので、今回は少々良い点を引き出そうかと思う。と、まぁこの作品が書かれた日本SF創世記の作品としては論理が甘い点などは致し方なしかと甘く見積もり、単純に読み物と見た場合、最終結末が赦せない部分はあるにしても、全体を通して楽しめるかと。ということで、前回に比べて評価はアップするとこになった。2016/08/29
佐久間なす
41
人間には理解不能な古代文字を解明しようとする、神の正体を暴く、神を狩る、と「想像できないことを想像する」と言った作者らしいわくわくする内容と物語で、私には正直理解できないところもありましたが、そんなことがどうでもよくなってしまうくらい、とても面白かったです。 物語はまだまだこれからだ!というような続きが凄く気になる終わり方なので、続編も読もうと強く心に思いました。2012/10/15
ntahima
38
日本SFにおいて伝説的な著者のデビュー作。人間が神の文字を解読することによって神を狩り出すという設定は興味深い。但、実際読んでみるとかなり不満。何故なら神が人格神、情報科学と言語学の力を駆使し神の正体を探ると思いきや霊感応者や霊という超自然的存在がぞろぞろ出てくる。古代文字というネーミングがダサ過ぎ。同じテーマで神は不可知神(高次元から漏れ出る重力もしくはダークマタ―的存在)にし最新の科学理論だけを使う。但、現代の技術水準は無視。つまり量子コンピューターなんか使い放題!こんな設定で誰か書いてくれないかな?2013/12/07
てんちゃん
36
SFは苦手なので自分からは読まないけれど、職場の後輩から一方的に渡されたので読みました。今時の装丁なので気づきませんでしたが40年以上前に描かれた作品。『神に闘いを挑む』人知を越えた存在や創造主から、コントロールされることを嫌い、闘いを挑むという設定は、今のSF作品ではよくある設定ですが、40年も前に小説化されていたとは驚きです。自分の存在そのものへの疑念、神への服従と反発。これらの気持ちは、人が思考する存在となった頃から付きまとうアンビバレンスな感情なんでしょうね。普段はSFを読まないので刺激的でした2016/12/22
kokada_jnet
31
今回のハヤカワ文庫版で追加された「36年目のあとがき」では、主に、「宇宙塵」主催の柴野拓美氏との関係が語られる。柴野さんは山田さんに「SF作家クラブに入れてくれませんか」と、冗談まじりで頼んだことがあるという。「宇宙塵」の合評会で、会員の永瀬唯氏から、「神狩り」「襲撃のメロディ」が大酷評されたというのも、ありがちな話。2020/03/02