内容説明
理想社会のシティ・システムは完璧なもので、市民にとってそこは真の楽園であるはずだった。しかし少年イヴは、レダとアウラとの出会いにより、確実に新たな地平へと導かれてゆく。自身にふりかかる嫉妬、憎悪、そして愛を体験してゆくうちに、イヴはシティ・システムそのものが抱える問題に直面するのだった。レダ、アウラ、イヴをとりまく状況は、さまざまな人びとを巻き込んで少しずつその歪みを露呈し始めるのだった。
著者等紹介
栗本薫[クリモトカオル]
別名に中島梓。東京生まれ。早稲田大学文学部卒。77年中島梓名義の「文学の輪郭」で群像新人賞評論部門を受賞。78年『ぼくらの時代』で江戸川乱歩賞受賞。以後、作家・栗本薫、評論家・中島梓を使い分けて多彩な文筆活動を展開する。小説作品は、ミステリ、SF、時代小説、耽美小説と多岐にわたる。ライフワークともいうべき一大長篇ロマン「グイン・サーガ」は、2005年に100巻を達成したが、2009年著者病没により130巻が最終巻となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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けいちゃっぷ
6
前半、ミラの件でのディスカッションは読み応えがあったが、後半にレダがでると、またもレダレダレダ。女性作家に偏見はないと言いつつも、「愛」を全面に押し出すところは勘弁してもらいたい。それに、冴えないし自分の意見すらも持ってないような少年が、何故にこれだけの体験でかくも論客になれるのだろう。ユートピア社会の矛盾にもっとも早くに気がつきそうな、天才・スティはなにをしているのか。いや、シティにはイヴより先に英才教育を受けた者が数百万人もいるなら、もっと多くの者が早くに気がつくはずだが。351ページ2010/11/13
まつじん
4
理想社会を突き詰めると実は不幸になる、ってのが私の”読み”です。さてどうなるのか、次巻への”引き”は十分すぎるほどです。2010/04/24
ナンさん
1
遂に大人の階段登ったイヴw そして楽園だった筈のシティの闇の部分の端が見え始めた物語。栗本薫はやっぱり凄いストーリーテラーだったなと思わせる物語。 2020/02/03
かず
1
レダとの出会いにより、他人への興味を増大させていくイヴ。それに沿うように、物語のテーマは、彼自身の問題からシティ全体に関わる大きな問題へと変化していきます。次々と起こる事態に、心を揺さ振られ続けるイヴが、まだまだ幼く感じますが、シティの人々から見ると、十分にユニークと感じるようです。2010/02/10
たかみ
1
36歳の少女(!)が15歳の少年をたぶらかす話。もしくは厨二病にキケンな思想小説。なんてね。2010/02/14