内容説明
本書は、小説に関するエッセイと対談を収める。豊富な読書体験と作家の立場から著者の理想とするハードボイルドとは何かが探求されている。さらに2篇の文庫初収録短篇と8篇の「小説以外の沢崎シリーズ」を収録。“沢崎ファン”必読の書。
目次
作家たちについて
レイモンド・チャンドラー頌
小説を書くということ
ハードボイルド対談(船戸与一)
小説以外の沢崎シリーズ
文庫・単行本未収録短篇
著者等紹介
原リョウ[ハラリョウ]
1946年佐賀県鳥栖市生れ。九州大学文学部美学美術史科を卒業。70年代はおもにフリージャズのピアニストとして活躍。30歳頃から意識的に翻訳ミステリを乱読し、特にレイモンド・チャンドラーに心酔する。88年、私立探偵・沢崎が初登場するハードボイルド長篇『そして夜は甦る』によって日本のミステリ界に颯爽とデビュー。89年に長篇第2作『私が殺した少女』を発表、第102回直木賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
104
再読です。再読して感じたことなのですが原さんはものすごい読書家というのがわかりました。海外ミステリー(少なくともハヤカワミステリーはすべて持っている感じです)ばかりではなく、日本の文学者の谷崎潤一郎や小林秀雄などは殆どよんでいるようです。私も見習わなければという感じでした。2017/11/14
Tetchy
103
『ミステリオーソ』を二分冊されて文庫化した後半部が本書。原氏の創作姿勢や創作主義、小説に対する厳しい眼差しが所々に挟まれており興味深い。また作中人物にリアリティをもたらすのは書き手にリアリティをもたらせる筆力があるからで、私立探偵が本当にいるように思えるにはそういう書き方をしているからだという話には盲が啓かれる思いがした。ただ原氏のこだわりの強さと破天荒な生き様に戸惑いを覚え、同調できない部分もあった。しかし収録された2編の短編で解ったことがあった。私は原氏は好きではないが、彼の描く沢崎は好きなのだ、と。2024/01/22
セウテス
82
本作は小説に関するエッセイ。ハードボイルドに対する思い入れは、人によって大きく違うだろうが、一人暮らしをしている時分よく読んでいた。何をもってハードボイルドなのか、様々な考えが書かれているが、私には読むと自分の人生を振り返って考える起点になっている。自分の人生の主人公は自分自身なのだと、認識する為に読むような気がする。それにしても、また読みたくなる作品が多数紹介されているエッセイであるが、再び手に入れるには難しい作品が多い。巻末の短編がまた良い、無理な話だが原氏の作品は、年イチで新作を読みたいくらいだ。2021/10/19
KAZOO
79
原さんのエッセイ集というか、様々な本の文庫あとがきや船戸与一さんの対談、あるいは最後にはシリーズの短編など盛りだくさんの趣向で楽しめます。数少ないハードボイルド作品をいままで読んできましたがこの様な面も持ち合わせているということです。もっと多くの作品を楽しみたいと思っているのは私だけではないはずですが。2015/07/21
goro@the_booby
57
エッセイや海外作品の巻末解説、対談、短編などまとめたものですが、また読みたい作家(トニイ・ヒラーマン、ロス・トーマス)が増えてしまった。氏のハヤカワポケミス愛も伝わってきました。船戸与一とのチャンドラー対談もグッドです。2022/01/26