内容説明
王紀440年、惑星統一を果たしたレンカ帝国は今まさに星間列強諸国に対峙しようとしていた。だが帝都トレンカを襲った大災厄は、一瞬にして国家中枢機能を破壊、市民数十万の生命を奪った。植民地総督府の官僚であったセイオは、亡き上司の遺志に従って緊急対策に奔走するが、帝都庁との軋轢、陸軍部隊の不気味な動向のなか、強力な復興組織の必要性を痛感する…。崩壊した国家の再生を描く壮大なる群像劇、全3巻開幕。
著者等紹介
小川一水[オガワイッスイ]
1975年岐阜県生まれ。1993年、中篇「リトルスター」が集英社ジャンプノベル小説・ノンフィクション大賞佳作に入賞してデビュー。1996年、同賞大賞受賞作『まずは一報ポプラパレスより』で単行本デビュー(河出智紀名義)。以後、丹念な取材に裏付けられた斬新なテーマのジュヴナイルSFで好評を博す。2003年発表の月面開発SF『第六大陸』(ハヤカワ文庫JA)では「ベストSF2003」国内篇第2位を獲得した。宇宙作家クラブ会員
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感想・レビュー
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みっちゃん
85
惑星統一を果たしたレンカ帝国を襲った大地震。異星間戦争により、地球が消滅してしまった未来という設定だけど、破壊された都市、理不尽に失われる命、災害の描写を物語として楽しむ事は出来ない。胸が苦しくなる。各機関の連携がずたすだになり、さらに被害が拡大する箇所はもどかしく、怒りすら感じた。皇族でただ1人生き残った少女と復興に奔走する青年官僚を軸に物語は進むのだろうか。それにつれ、軍部や貴族等の格差や侵略を是とする、この国のありようも変わってゆくのだろうか。2巻へと進みます。2014/08/21
Tadashi_N
38
地震に被災した話がリアルだったが、作品ができたのは東日本の前。かなりびっくり。ロストテクノロジーの宇宙船が登場する。2018/02/08
いおむ
23
小川さんの本という事だけで全く予備知識無しにて古本を購入。遙か未来の別の星で東日本大震災を彷彿とさせる大災害に見舞われ国の中枢がほぼ壊滅した星の話。東日本大震災の前にSFとして書かれている内容が驚異的。今としてはラノベSFぽい装丁が逆に読者を限定させてしまってるのではないかと思う程に緻密な書き込みに設定。この一巻目で主要人物が出揃いこれからどんな物語が始まるのか非常に楽しみです。2018/12/24
JACK
22
☆ 人類が他の惑星に移り住んだ遥かな未来、大地震で壊滅したレンカ帝国の復興を描く物語。若手高等文官のセイオは国の復興のために動き出す。彼は災害に苦しむ帝国民や他民族、自分の無能さを棚に上げて権限を主張する首都のトップ、戒厳令を出して権力を振りかざす陸軍、隙を狙う他の星の勢力などと向き合う。多くの人々の命の危機に、自分に出来ることは何かと問われる熱い展開は東日本大震災当時を思い出させられます。次から次へと起こる想定外の出来事にセイオがどう向き合うのか。目が離せません。やはり小川先生の作品は素晴らしい。2025/06/13
miroku
22
登場人物たちの魅力が物語に力を与える。小川氏得意のお仕事SFの一種とも言える作品。面白くないわけがない!2017/03/12