内容説明
ナリス19歳。彼はすでにクリスタル公という、パロの重要な役職にあった。適任をあやぶむ声のなか、忠実で的確な任務の遂行ぶりに、評価は高まってきていたが、その一方で、宮廷一の美女、フェリシアと熱く危険な逢瀬を重ねる、物憂くも多忙な日々を過ごしていた。そして、いつになく雨の多い春、美しく冷徹なクリスタル大公としてその名が知られることになるナリスの、孤独な心を育てる発端となった事件が静かに幕を開ける。
著者等紹介
栗本薫[クリモトカオル]
別名に中島梓。東京生まれ。早稲田大学文学部卒。77年中島梓名義の「文学の輪郭」で群像新人賞評論部門を受賞。78年『ぼくらの時代』で江戸川乱歩賞受賞。以後、作家・栗本薫、評論家・中島梓を使い分けて多彩な文筆活動を展開する。小説作品は、ミステリ、SF、時代小説、耽美小説と多岐にわたる
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