内容説明
麻薬組織の追跡を振りきり、とある恒星系に逃げこんだミリガン運送のロイドとマージ、そして新任航法士の少女メイ。愛機の故障による窮地から3人を救ったのは、ガス惑星フェイダーリンクのリング上で暮らすコロニーの人々だった。しかし、星系政府が推進するフェイダーリンクの太陽化計画によって、彼らの居住地は消滅の危機を迎えていた。恩義に報いるため、ロイドらは一計を案ずるのだが…傑作ハードSF活劇第2弾。
著者等紹介
野尻抱介[ノジリホウスケ]
1961年三重県生まれ。計測制御・CADプログラマー、ゲームデザイナーを経て、1992年、ゲーム「クレギオン」の設定をもとにした『フェイダーリンクの鯨』で作家デビュー。以後、『クレギオン』『ロケットガール』の両シリーズで人気を博す。2002年に上梓した『太陽の簒奪者』(ハヤカワSFシリーズJコレクション)は新時代の宇宙SFとして絶賛を浴び、短篇版に続いて星雲賞を受賞、「ベストSF2002」国内篇第1位を獲得した
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶるっちゃ
14
宇宙船乗りとリングとクジラのお話。宇宙クジラと聞くとマクロス7を思い出すんだけど(あれは銀河クジラだけど)、宇宙を巨大なクジラが泳ぐってイメージは何でこうもしっくり来るのだろうか。 舞台となるガス惑星やリング、コロニーなどの設定がやけにしっかりしていて、決して重くはないストーリーの中にハードSFっぽいエッセンスが効いているのもまた良し。2016/04/19
klu
12
満腹状態になってきました。ちょっと宇宙ものは休止に入ります。2017/05/25
ぽんすけ
11
元気がなくなった時はクレギオン。子供の頃からの愛読書でいつでもワクワクをくれる。最近のSFって設定がものすごく凝っていてそれはそれで面白いんだけど、昔ながらの宇宙!冒険!ドキドキ、ハラハラ、ワクワクをストレートにくれるこのシリーズが大好き。社長のロイドは酒好きで女好きだけど宇宙への熱い想いを持ち続けていて、おっさんでイケメンじゃないし中年だけどカッコイイんだわ。仕事がバリバリできて度胸があってといい女の代名詞みたいなマージが、危ない橋ばっかり渡って実入りの少ないミリガン運送に居続けるのはロイドのあってこそ2022/03/22
チョモ
9
ヴェイスで新任航法士メイが加わって、快調に飛ばすミリガン運送。今回彼らが遭遇したのはガス惑星フェイダーリンクの輪の中にあるコロニーで暮らす人々…と、地上げ屋?(ちょっと違うか^^;)。人々の営みに纏わる描写が多く、生活感溢れるSFを堪能出来ました。流石野尻氏、宇宙を"身近に"書かせたら随一ですナ。まるで申し合わせた様な終盤の展開に、少し時代劇っぽさを感じたのは自分だけでしょうか。前巻もそうでしたが、科学考証をスパイスにしながらも、物語的なツボはかなり古風な所を突いてくるんですヨネ。このギャップが堪らない。2013/12/11
ラプトル
8
スペースオペラのシリーズ第2巻。今回は惑星直径の3倍もの輪を持つガス惑星フェイダーリングが舞台。輪の中で水素を集めその売買を生業とするコロニーを救う物語。前作の登場人物が新たに仲間に加わり物語に幅ができた。前作より理屈っぽくなっているところがうれしい。やはりSFは細部をネチネチとつめられているのが面白い。2012/08/20