内容説明
独立運動に揺れるチベットで、滝沢は摩耶に再会した。そして独立運動の指導者であるチュデン・リンポチェと行動をともにしていたニマとも再会する。しかし滝沢と接触したことが原因で、リンポチェたちは中国軍に逮捕されてしまう。彼らを救うため滝沢はチベット・ゲリラ「テムジン師団」に協力を仰ぎ、彼自身も、重要な工作に携わることになる。厳寒のヒマラヤに、政治の横暴とクライマーの誇りが、熱く激しく衝突する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
3
小説というのは足し算と引き算のバランスが肝心である。熱く語るべきところは厚く叙述し、かつ物語の進行を円滑にするために読者の想像で補えるところは削ぎ落とすべき。本書においては、導入部のアイガー北壁登攀はもとより、スイスからネパールへ至るまでの道中、そしてネパールからチベットまで至る道中、これら全てが詳細・緻密に語られているがために、非常に冗長な印象を受けた。何度も同じ話を読まされたような気がしてならない。これほどの枚数が必要だったのか、甚だ疑問だ。2009/12/19
いちはじめ
2
他のルートが次々と潰されていく展開なので、不自然さはあまり感じられないが、おそらく世界一無茶な逃亡ルート。やるんじゃないかと思ったら本当にやってしまったので、思わずにんまり。2008/07/28
つちのこ
1
今のところ、谷甲州のNO.1山岳小説。さすがにヒマラヤの7000メートル峰を経験した著者だけあって、アイガーやヒマラヤの登山描写には迫力がある。(1997.3メモ)1997/03/28
にゃごー
1
最近は結構山岳小説を読んでいるが、この本は冒険小説と呼ぶのがふさわしい。主人公の滝沢はアルプスのアイガー北壁でパートナーを亡くし(森田勝がモデルなのか)、抜け殻のようになっているところ、ネパールにいる旧知の摩耶の危機を察しネパールへと向かう…。ここまで主人公がグダグダな冒険小説があっただろうか、いやない(反語)。最後もここはエベレスト越えですか、と思わせておいて…。いや、谷先生のことは結構本当にリスペクトしてます。こういう本はなかなかかけるもんじゃないし、なぜか読んでしまうのも不思議。2019/01/21
クマー
0
ヒマラヤ山中での極限状態での逃避行。読んでいるだけで極寒を感じ身震いする。終わりまで気が抜けないギリギリの逃避行なのだが、ニマと摩耶の強さでもって苦難を乗り切る。後日談は無くても良かったんじゃないのかと思ったり。2012/12/31