内容説明
「入居資格は伝統的家族制度に挑戦する家族であること」友朗が住む地園田団地は、設立者の大富豪の意向で、主夫のいる逆転家族や血縁のない契約家族、同性愛カップルなどが住む実験団地だった。そんな風変わりな場所に今度引越してきたのが小田島博士一家。しかし博士は到着早々何者かに誘拐されてしまった!友朗と団地住人たちは、博士の娘の美宇を助けて真相解明に乗り出すのだが…不思議な街のユーモアミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
46
同性カップル、専業主夫家庭、契約家族が集められた地園田が丘団地に新たな一家が入居。しかし、設立者と対立する組織がその父親を誘拐。設立者は住人達を中心に「地園田が丘イレギュラーズ」を結成させ、事件解決に乗り出した。昔の作品だからより権威的な思想と対立してきつく・・・なることはあんまなく(これも偏見か)主張し過ぎることなく(「挑戦」か)読みやすく、団地の枠を越え増えていくメンバーと活劇要素にテンションが高くなっていく。ミステリよりそっちが面白かった。重くなり過ぎず、なかなかに爽快。2025/03/11
タカギ
21
好き…。ジェンダーとかイマジナリーフレンドとか、1996年が初版であることを思えば、驚異的に新しい作品。今読んでも、パソコン通信以外は古くない。『バルーン・タウン』といい、著者は尖った人だったのかな。最近は恋愛ミステリの印象があるけど。ラストシーンがとても温かくて良いし、タイトルの意味もわかる。深み。ミステリとしてはやや反則かもしれないけど、最近の特殊設定ミステリがお好きなかたにもお薦めしたい良作。2022/05/29
ピップ
21
伝統的家族制度に挑戦する家族のみ入居可能な地園田団地で起こる誘拐事件の話。ジェンダーをテーマにしてるけど、主張や問題提起など一切なく、コミカルで軽くて読みやすい。逆に言うとジェンダーの知識も増えません(笑)ただ、ラストに明かされる実験内容は、現在の技術では十分可能ではないかと思われ、ぜひともどこかでやっていただきたいと思ってます。野次馬的な立場からの意見ですが(笑)2021/11/28
竜王五代の人
7
再読。典型から外れた家族ばっかり入居させる団地、という変人集積装置から始まる、ちょっと? かわった人たちの織り成す、軽く読める少年冒険活劇。ドタバタの間に、人間自由に生きるべき、というメッセージが挟まれるけど煩くはない。オカマの政やんと中性的美少年江之本がにぎやかしとして楽しいキャラである。アヤしい魅力を振りまく名誉町会長とダーク・レディの出番がもう少し欲しかった。2024/12/23
Kentaro Tanaka
7
特異な設定であっても、流れるように滑らかで自然なストーリー展開は流石です(*´∀`)♪楽しく読めましたが、もう少し色濃くキャラクターが出ても良かったかな、と思いました★ただそうなると、バランスが崩れるのかな。。読み易い作品だったと思います☆2018/04/06