内容説明
「ユウが愛しているのはママだけで、ママが愛しているのはユウだけだった」ドーム都市〈エディプス〉に住む少年は、誰もがみな母親と二人だけで暮らす。ユウとママもそうだった。二人は夜になると全裸で抱きあって眠った。ユウもその生活に満足していたのだがある日少女アイに出逢ってから、ユウの中にママへの憎しみが生まれた―未来社会の性の姿を鋭く描く表題作他18篇を収録。SFとミステリを横断する鬼才の全短篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
28
ショートショートはまあまあだったが、独り善がりで全体としては最悪。2008/10/17
プリザエース
2
普通の短編小説集だと思って読むとガッカリするだろう一冊である。長編作家のエスキース集なので、それぞれの完成度が水準に満たないからだ。笠井潔作品をいくらか通読している者だけが例外的に楽しめるスケッチの羅列と言えよう。私が面白く読んだのは、SFにおいて定番のドーム都市の中でのコミュニティ維持における性愛・繁殖の位置付けと扱いだ。映画「復活の日」「地球へ…」を観ても感じたが、日本のSFはその部分を無視できないようだ。輸入SFだと生存に直結した闘争や食料配分が優先され他は軽視されるので、そこに民族の差を感じる。2019/08/22
桃柳
2
矢吹駆シリーズとは全く違うSFとエロス。でも根底にはしっかり思想が敷き詰められていた。 2019/07/06
ArcCosine
2
K2は短編が本当に苦手だっていうのが分かる本。ファン以外読まないんじゃないかな、これ。2013/12/29
NOB
1
笠井作品にしては珍しい短編集。 根底にあるテーマは変わらず。2017/03/06