感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
がんぞ
2
著者はあとがきでシューマンの小品を愛しベートーベンの交響曲の壮大な虚像には興味が無いと述べ(「短い間なら幻惑させられるから科学小説は短篇に限る」とHGウェルズは言った)「詩情を重視する」と宣言している。1967~72年、SFマガジンに掲載された『子供の情景』などのスケッチは、オバケのQ太郎的核家族の日常に非凡が忍び込み、破局を暗示して幕切れとなるものが多い。小市民的幸福とは、家庭を守る実力があってのこと、それは何時までもと保証されたものではない。諸行無常を感じるのが詩情ということだろう。2014/07/01