感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
95
半村良の三大伝奇小説(本書、石の血脈、妖星伝)のひとつだと思います。私は昔から伝奇小説好きで国枝史郎を読んだりこの作者にほれ込んでいました。ただずうっと忘れていたのですが、先日NHKのFMラジオの「トーキングウイズ松尾堂」で坂東弥十郎さんが一番の愛読書だというので再読しました。ヒの一族が歴史を変えていくのに力を貸していたりするということで織田信長や幕末、昭和初期の時代に焦点を当てて楽しませてくれます。月の世界にまで行ってしまうということでやはり伝奇小説ですね。「太陽の世界」80巻を完成させてほしかった。2022/08/27
ヒデキ
45
数年に1回再読してしまう作品 老眼が、進んで家にある本で読みづらく思っていましたが、 こちらの版で読みやすく読ませて貰いました。 私が、歴史SFに興味を持ったおそらく最初の作品で 半村作品の出逢いの作品でした。 ヒと名乗る太古の昔から存在したと言われる一族の戦国時代からの活躍を描いている 時代に翻弄される神の一族は、徐々に権力に引っ張りまわされるようになっていく 恐らく、三種の神機も力が、弱くなっているのを補うモノだったのかなと思ってしまいました 2024/07/31
Shun
33
日本には古来から異能の血を連綿と受け継ぐ<ヒ>一族あり。彼らは三種の神器と一族のみが宿すという特殊能力を以て、歴史の影から日本という国の趨勢に関わってきた。本作は史実を元にタイムワープや念動力といったSFならではの仕掛けを巧みに取り込み、誰もが知る歴史の一場面にユニークな解釈を加えて架空の歴史を描く壮大なSF×日本史。この<ヒ>一族の設定が実に面白く、歴史での立ち位置は公儀の隠密に近い存在。もし彼らのようなワイルドカードが存在したとしたら、戦国や幕末のような複雑な勢力図に新たな解釈が生まれワクワクします。2023/08/12
月をみるもの
21
数十年ぶりに再読。歴史をある程度勉強したせいか、戦国パートが若い時よりも格段に面白い。最後の昭和パートでの首相に関連するエピソードも、ほぼそのまんまやん!ということに思いが到る。そしてなによりも、のちの「妖星伝」につながる「地球の生命は過剰で醜い」という思想がオシラサマという存在によって体現されていることに気づく。2023/10/08
agtk
11
新年一冊目はこれ。最近なかなか手に入らない半村さんの作品だが、復刊版を本屋で見つけて即購入。骨太の伝奇小説。日本の歴史の中でのヒの姿が描かれる。その動向に一喜一憂させられる。この想像力創造力には驚かされる。これだけの作品が現在手に入りにくいのは実に残念。半村作品がどんどん復刊されることを望む。2022/01/01