• ポイントキャンペーン

ハヤカワ文庫
北風のうしろの国

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 488p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784150203986
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

「北風と一緒なら誰だって寒くなんかないのよ」―美しい女の姿をした北風の精は、ダイアモンド少年を幻想的な世界へと誘った。夜のロンドンの空へ、嵐の海上へ、そして北風のうしろの国へ…。その不思議な国から戻った少年は、想像力の翼を広げ、産業革命期の生活に疲れた人々に、優しさを取り戻させてゆく。C.S.ルイスやJ.R.R.トールキンらによって開花した英国ファンタジイの、偉大なる先駆者による古典的名作。

著者等紹介

マクドナルド,ジョージ[マクドナルド,ジョージ][MacDonald,George]
1824年、スコットランドのアバディーンシャー、ハントリーに生まれる。大人や子どもに愛される妖精物語を執筆、英国ファンタジイの黎明期をかたちづくった。1905年没

中村妙子[ナカムラタエコ]
東京大学文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

seri

65
ファンタジーを好きでいて良かった。ただひたすらに思う。150年の時を越えて全く色褪せない輝き、魔力を持った言葉たち。ファンタジーとは心の地平をひろげるもの。作品の持つ精神性を骨組みに、枝葉をのばし、地図を世界を塗り替える。上質なファンタジーの秀逸さについて語る言葉を多くもたないけれど、この精神性こそがマクドナルドの真骨頂。厳しくも優しい北風を信じ、小川のせせらぎの歌に耳を澄ませ、生物達の息吹を感じる。ダイアモンドのひたむきさが、心に響く。萎れた葉だって煌めく心の星になる。生きていくための秘訣を囁く名作。2014/04/21

ryuetto

9
子供のころ以来の再読。子供のとき読んだ本は、子供向けの簡略版だったので、今度の本は、完全版だろう。と思う。その分だけ、読みごたえがあって、ずいぶん楽しめた。 大人になって読み返してみると、ダイアモンドがあまりにもいい子で、泣きそうですよ。病気の父親の代わりに御者をやって、生活費を稼いでみたり、お母さんのために赤ちゃんの子守を進んで引き受けたり、隣の家の父親がのんだくれで喧嘩をしていれば、さりげなく入って行って、隣の家の赤ちゃんまで泣き止ませたりしてさ。思わず、怠け者の自分が恥ずかしくなるぐらいのいい子だ。2019/07/30

shou

8
北風に抱かれて少年ダイアモンドが旅する夜空の景色が綺麗。ロンドン下層階級の貧しさ、美しい北風が漂わせる死の気配が終始付きまといながらも、少年の純真な優しさに周囲の人々が温もっていく物語。そしてその美しい優しさのための、避けがたい結末。2015/05/19

白義

8
タイトルからはわかりにくいけど、北風のうしろの国はあまり直接的には描かれず、むしろ厳しい現実社会の中に息吹く、想像力に溢れた豊かな世界がしっかりとえがかれている。その優しく柔らかな物語とは裏腹に、そよ風の一瞬の冷たさのように死の気配が消えることなく世界観を支配している。ただし、この作品では死は決してネガティブな物としては捉えられていないように思う。トールキン以前のファンタジー史に名を残す先駆者の代表作。風の意志は、風にもわからないので解釈を拒む作品にも思うが、スピノザのような世界に感じた2012/06/22

ichigomonogatari

6
小学生の頃読んだ、いつまでも大切な物語。一般的な価値観で語られないお話。北風さんは、「死」のメタファーだけとは言えない不思議な存在だ。子供心には、仲間外れにされているダイアモンドのことが不憫だった。はずれたところで印象に残っているのはおじょうさんのこと。好きで一生懸命する仕事が人間には必要なんだと感じた。もう一つ、赤ちゃんが存在だけで周りを幸せにするということ。2017/06/16

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/404390
  • ご注意事項