内容説明
アーサー王はベイドン山の戦いでサクソン人に大勝し、見事ブリテン統一の野望を果たした。グウェンフウィファルの力添えもあって、その記念すべき戦を機に、アーサー王はしだいにキリスト教に傾倒していった。だが、〈湖の貴婦人〉ヴィヴィアンは、これを快く思わなかった。神聖なドルイド教の儀式でアヴァロンの王たることを誓った者が、キリスト教を重んじるとは、まさに裏切り行為というもの。そこでヴィヴィアンは、アーサー王と対決するためにマーリンと共に宮廷へと赴いた。ところが、そこでは思いもよらぬ運命が彼女を待ち受けていた…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りー
18
第3巻。表紙はトリスタンとイゾルデ。キリスト教の魅力が全く分からない。人間の罪悪感を煽って本能を悪しきものと押さえつける。ランスはグウェン自身が好きだったのではなく、「アーサーの妃であるグウェン」が好きだったのだと自覚してしまい、自分が両性いけるんだ、という罪に苛まれるけれど、江戸時代までの日本的なセクシャリティーでいけば「いいじゃん、両方楽しめて」女神信仰者も同じ考え。さて、古き牡鹿を倒す若き牡鹿、モードレッドが登場。彼は彼で悩みが深い。人間の業がこれでもかとばかり描かれていて読みがいのある事ときたら!2023/11/23
明智紫苑
4
アーサーとランスロットよ。お前らは張耳と陳余の爪の垢を煎じて飲め。モーゲンとグウェンフウィファルをてめぇらの代理戦争の道具にするな! 本気でてめぇら自身で憎しみ合って殴り合って、刺し違えてしまえ! 私がゲーテのファウスト博士だったら、こいつらに対して范雎と司馬昭を兼ねた役割を実行してやる。ファウストのクソ野郎ぶりよりも、アーサーとランスロットの偽善者ぶりの方がよっぽど不愉快だ。まあ、そもそもランスロットがアーサーの忠臣兼親友という設定自体が後づけだから、このような矛盾や違和感があるんだな。2024/05/17
小説大好き
1
怒りポイントがありすぎて平静に読めないです。まず、女性キャラの内面描写はフェミニズム小説として失敗だと思います。彼女らは被害者意識だけは最大限誇張するのに自らの被保護性と加害性は都合よく無視します。男性キャラの方がよほど不憫です。でもそんなことは良いんだよ。グウェンフウィファル! 何なんだよこのクソ女! 自分の罪を人のせいにし事情も聞き入れず自分勝手な解釈で恩人を陥れ「地獄に落ちろ!」とヒスったくせに、自己正当化の挙げ句見当違いな善人面と被害者面、こんなのファシズムと同じですよ。惨たらしく死んでほしい。2021/11/29
もなみ
1
メインキャラクターがだいたいいけ好かない。グウェンフウィファルは本当に嫌いだし、ランスロットもいい加減にしてほしい。ランスロットがグウェンに執着する意味がわからなすぎたけど、「アーサーへの同性愛の発露」と言われて納得。ランスからしたらグウェンを通してアーサーを手に入れられるわけね。案外モルゴースの一族やグウィディオンは嫌いじゃなかったり。アーサーは妻に振り回され、姉への思いは報われず、愛する従兄弟とは離れざるを得ず……本当に可哀想。報われてほしい。2021/05/11
冬至楼均
1
マーリンも湖の貴婦人も代替わり。2012/02/04