内容説明
ベストセラー作家ウィリアム・ゴールドマンが世界で一番気に入っている本、それがフローリン国の文豪・モーゲンスターンの『プリンセス・ブライド』である。この本は〈真実の恋と手に汗握る冒険物語の名作〉と称されるが、一般読者にはフローリン国に関する長ったらしい記述が退屈だ。そこでゴールードマンは、物語の面白い部分だけかいつまんで娯楽抜粋版を編集した。それが本書『プリンセンス・ブライド』である。天性のストーリイテラーが、謎の作家の埋もれた名作をユーモア溢れる話術で紹介しながら、現実と虚構を巧みにシャッフルした傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田氏
18
わたしだ。恥ずかしながら、この著者が『明日に向かって撃て!』の脚本家であることをわたしは知らなかった。そのようなくらいだから、冒頭の前日譚について、どこまでが事実でどこまでがフィクションかを今ひとつ把握できなかったのは残念なところだ。だが、そこから展開するめくるめくファンタジー・フィクションの重奏を楽しむのに不足はなかった。(余談になるが――わたしはもちろん『明日に向かって撃て!』を観たことはない。ついでにいうが、明日に向かって~と言われたら、わたしは吉田拓郎でも嵐でもなく、エレカシを思い出す。閑話休題)2021/02/28
nizi
4
作品(幼いころ父親に読んでもらった本という体裁)に、作者が冷めた目で突っ込んでいくという一種のメタ小説。「ここつまらないからカット」みたいなのが容赦なく出てくるところが楽しい。2024/10/11
ポチくん
3
乙女な欧米人女性に勧められた本。おなじみの西洋のお姫様物語のパロディ。笑えます。翻訳者の方は苦労されたでことでしょう。2019/10/07
サマーボ
3
ハイライトとなるようなシーンが割愛されていたり、注釈による流れぶった切りが目立つ。的確なタイミングでそれらをやってのけるので、声に出して笑ってしまった。注釈が本筋と言っても過言ではない!2014/01/15
ひとみ
3
かつて夢中になったS.モーゲンスターンによるフローリン国を舞台にした冒険小説『プリンセス・ブライド』。苦労の末に絶版の英訳書を息子にプレゼントした所なんと第一章で投げていた。改めて読むと父親がフローリン国の歴史や風刺といった箇所をとばしていたことを知る。かくして作者は冗長な箇所をカットし娯楽抜粋版の『プリンセス・ブライド』を送ることに。…血湧き肉踊るファンタジー冒険小説をさらなるフィクションでくるむという凝った構成の小説。元のストーリーと時折挟み込まれる作者の声と相乗して面白い読み心地になってる。2013/12/09