内容説明
帝国の未来たる双子レトとガニーマに対する企みは、アトレイデス家内部にもあった。仇敵ハルコンネン男爵の悪霊にとりつかれ、忌み子と化した双子の摂政アリア。ベネ・ゲセリットに加担したかのようにも見える祖母ジェシカの謎の行動…。みずから死を偽装し、砂漠へひとり旅立ったレトは、メランジによる幻視のなか、全人類を救済する“黄金の道”を見出すが!権謀術戦渦巻く伝説の未来史シリーズ第三部。
著者等紹介
ハーバート,フランク[ハーバート,フランク] [Herbert,Frank]
1920年、米国ワシントン州生まれ。1952年に“スタートリング”誌でSFデビューし、1956年に初の長篇『21世紀潜水艦』を上梓。1965年に刊行した第2長篇『デューン 砂の惑星』は、ヒューゴー賞・ネビュラ賞を受賞したほかSFジャンルの壁を越えて圧倒的な支持を受けた。1986年死去
酒井昭伸[サカイアキノブ]
1956年生、1980年早稲田大学政治経済学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ねりわさび
92
DUNE三部作目、ポールアトレイデス編の完結章。ポールの息子と娘を主人公にあて、前作まで登場していたキャラクターたちが様々な形で再登場し物語が進行していく。少し意外な形で斃されたはずの者たちも現れるので僅かに戸惑うかもしれません。ラストは衝撃的。次回作、第4部も新訳で読みたいものです。たいへん面白かったですね。2024/04/18
りー
27
物語としてはものすごく厳しい内容だった。「進化は安寧の中にはなく、平和は人間の意識を腐らせる」という。大抵の小説には「めでたし めでたし」があって、読者もそれを求めるのだが、この本に限っては無かった。短い平和の末の滅亡と、厳しい条件下での進化を伴う広域発展とでは、どちらがマシなんだろう??出アフリカの原因になった飢餓が無ければ現人類の繁栄は無かった…みたいな。レトは苦悩の末に「それとも人間、辞めますか」の後者の方を選んだけれど、「じゃあ、幸せって何ですか!?」と、読者としては叫びたい。読了気分、微妙。2025/03/04
塩崎ツトム
22
今までの作品よりも「対話」が心に残る物語だった。従来では「対話」の裏に策謀や、その裏を読むことが多く、本章でもそれは行われるが、特に下巻における「対話」はそういう腹の探り合いを超えたものがあった。レトと〈伝道者〉、袂を分かつ直前の、スティルガーとダンカンの対話。ジェシカとファラッディーンの師弟の対話……。2024/09/16
ふみふみ
18
物語の展開が緩慢で、前二作では1ページの進行が、本書では5ページに渡って幻視や禅問答や情景描写を加えて水増しした感じです。その話は本筋と関係あるの?みたいなのが多く、意味不明な哲学問答など、たわごとを並べてる感も否めません。又、ポールの双子を始め、登場人物のキャラが皆一様に薄くなってしまって、感情移入できるのは可哀想なアリアぐらいじゃないでしょうか。フェイドアウトしたイルーランも哀しい。そして、主人公レトの中国4000年化も結末もグロテスク。著者は神話でも創作したかったんですかねえ....残念2024/06/14
ふりや
12
双子のレトとガニーマと、コリノ家の当主による新たな帝座争い。視点が激しく入れ替わり、登場人物たちの思惑が交差し、複雑な物語で上下巻合わせてなかなかの読み応えでした。『砂の惑星』から読んできた身としては、やはりポールとアリアの行く末には心が動かされるものがありました。終盤に描かれるレトの「覚醒」にも驚かされました。砂漠の力を取り込み、あんな事になるとは。いったんお話に区切りがついたとは言え、続編が気になる終わり方でしたね。ヴィルヌーヴ版の映画を観た後なので、各キャラのビジュアルが浮かぶのも面白かったです。2024/03/31
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