出版社内容情報
名作「町かどの穴」など不思議で奇妙な魅力溢れる19篇を収録。"SF界のホラふきおじさん"ラファティの粋を集めたベスト短篇集
内容説明
町かどにあいた大きな穴のせいでもうひとりの自分が多数発生してしまう事件の顛末を描く「町かどの穴」、惑星調査隊が直面したあらゆるものを盗む天才エイリアン“どろぼう熊”をめぐる悪夢「どろぼう熊の惑星」、考古学者たちがいつも“つづく”で終わる奇妙な絵文字が刻まれた石の謎に取り憑かれる「つぎの岩につづく」など、伝説の作家ラファティによる不思議で奇妙な物語全19篇を精選したベスト・オブ・ベスト第一弾。
著者等紹介
ラファティ,R.A.[ラファティ,R.A.] [Lafferty,R.A.]
1914年米国アイオワ州の生まれ。電気技師を経て、1959年、44歳の時にデビュー。ユーモアと幻想の入り混じった不思議な短篇で注目を集める。1968年にはじめて長篇を、それも立て続けに3冊発表。1972年には短篇「素顔のユリーマ」でヒューゴー賞を受賞した。2002年死去
牧眞司[マキシンジ]
1959年生、東京理科大学卒、SF研究家・文芸評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shun
32
奇想SF作品を多く遺したアメリカの作家ラファティ氏。その不思議で奇妙な19篇の世界を堪能できる作品集です。本を手に取った時の第一印象はロアルド・ダール作品を彷彿としましたが、こちらはSF的世界観の色濃い物語が強く印象に残りました。各紹介文でも言及があるようにユングの集団無意識や世界に存在する二重性といったテーマをよく用いるのがラファティ作品。人の深層心理をカリカチュアした突飛な世界観や、作家の独特な時間観が表れた物語に刺激を受けた。世界を反転させる蝶番という設定が面白い「世界の蝶番はうめく」がお気に入り。2022/12/08
ふみふみ
16
冒頭の「町角の穴」から「世界の蝶番はうめく」までのクレイジー度が飛び抜けてます。一体どこからこんな発想が出てくるのでしょうか、全くもって想像できません。他、「つぎの岩につづく」も強烈でした。編者あとがきでブラックリアリズムとの共通点が指摘されてますが、私も同様の印象を持ちました。SFという分野でカテゴライズされる作家ではないですね、R.A.ラファティ。2021/10/21
シタン
12
奇妙奇天烈摩訶不思議奇想天外四捨五入出前迅速落書無用。個性的すぎる語り口と狂った世界観・ロジックで唯一無二の感覚を味わった。豊富な引用や言葉遊びはワイルドな知性を感じさせ、ちゃんと読もうとすると一筋縄ではいかない。原著で読んだ方がそのへんは楽しめるかも。不純粋科学研究所シリーズがいくつか入ってて登場人物(機械)たちと親しくなった。本当かどうか怪しいが、関西の大学のSFコミュニティではラファティがかなり読まれているとかいないとか。 この巻は「アヤシイ篇」で次の巻が「カワイイ篇」らしい。カワイイってなんだ?2021/12/11
スターライト
11
ジャンル内において、ただ一人独特の地位を築いている人がいる。本書の作者、R・A・ラファティもその一人だろう。SF作家とみなされているが、S(すこし)・F(不思議)どころか、奇妙(strange)で読者を惑わす(fool)話の書き手といえるだろう。何しろ死んだはずの登場人物がまだ生きているかのようにしゃべるし、人間でないものもあたかも人間であるかのように振る舞うし、ストーリーはちっとも進まず、あっちへ行ったりこっちへ行ったり。その味を楽しめるかどうかが、ラファティファンになるかどうかの分かれ目だろう。2022/03/27
ふりや
11
牧眞司さん編纂のベストコレクション第一弾。テーマは「アヤシイ篇」奇想天外で摩訶不思議、ユーモアからシリアス、ホラーまで、なんでもアリのラファテイ節を浅倉久志さんや伊藤典夫さんの名訳で堪能できます。2~30ページの作品が19篇収録されており、空いた時間や寝る前に少しずつ読むのにも良さそうです。第二弾「カワイイ篇」も刊行予定とのことで、そちらも楽しみです。印象に残ったのは、『町かどの穴』『どろぼう熊の惑星』『秘密の鰐について』『その町の名は?』『われらかくシャルルマーニュを悩ませり』『つぎの岩につづく』など。2021/10/08