内容説明
神経科学研究の進歩により、ポストヒューマンの存在が現実味を増し、その技術が取り締まられるようになった近未来。記憶や官能を他人と共有できるナノマシン、ネクサス5を生み出した若き天才科学者ケイドは、その存在を危険視した政府の女性捜査官サムに捕らわれてしまう。彼女らに協力を要請されたケイドは、スパイとなって中国の科学者朱水暎を探ることになるのだが!?息詰まる攻防を描くノンストップ・SFスリラー。
著者等紹介
ナム,ラメズ[ナム,ラメズ] [Naam,Ramez]
エジプト、カイロ生まれ。3歳で渡米し、現在もアメリカ在住。コンピュータ科学技術者としてマイクロソフト社に13年間勤務し、Internet ExplorerやOutlookなどの製品開発に携わった。ノンフィクション『超人類へ!バイオとサイボーグ技術がひらく衝撃の近未来社会』で、2005年度のH・G・ウエルズ賞を受賞。『ネクサス』は小説家としてのデビュー作であり、同作から始まる三部作の三作目Apexでは2016年のフィリップ・K・ディック賞を受賞した
中原尚哉[ナカハラナオヤ]
1964年生、1987年東京都立大学人文学部英米文学科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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姉勤
35
2040年の自分の誕生日から物語が始まる。医学とITの長足の発展から、脳内にスマホがある以上の拡張現実と共存している社会。実現可能な他者との感覚の共有からの、完全な支配。それが現実すれば、あらゆる完全犯罪と国家安全保障を脅かすアプリケーションの違法な開発者と、それを取り締まる刑務官との接触。人間やめますか?と問われても、どこまでが人間なのよと云う問いと、その真人間の非人間的行為。なんか先が読めそうな感じをもちつつ、下巻へ。プログラミングの知識と仏教&東洋哲学、そして日本アニメや漫画の履修が必須な本作。2023/03/28
きょちょ
28
実に面白い!! 脳と脳とで直接コミュニケーションできる、あるいは相手の脳を操作する、自分の脳を操作するといったナノマシン「ネクサス」。 2040年の近未来SF。 クローン人間、トランスヒューマン、ポストヒューマンなど進化?した人間も登場。 アメリカと中国の思惑も絡む。 アメリカからタイに舞台が移ってから、一層面白くなる。 朱博士はなかなか手ごわい敵(?)だ。 全く無駄が無い上巻。 さて下巻はどうなるか! ★★★★★ 2018/09/03
Porco
17
2040年。主な舞台はバンコク。米中政府が絡んで派手なアクションシーンもたっぷりのSF小説です。他の人の脳とダイレクトに通信ができるようになるナノマシンが違法ドラッグとして流通する世界。翻訳もののSFは難解なものが多い印象ですが、これは読みやすくて楽しめます。2022/08/12
もち
16
「戦争。人間の条件をめぐる戦争」◆他者と感情や記憶を共有できる違法ナノマシン・ネクサス。改良に成功したケイドは、女性捜査官の罠によりスパイを強いられる。標的は中国の神経科学者。禁断の技術を軸に、パラダイムシフトを賭けた抗争が始まった。■卓越したストーリーテリングで引っ張るSFサスペンス。精神と身体を操作し合う電脳戦や、幾重に構築された包囲戦に大興奮。「人類」を定義したがる二陣営の駆け引きは加速し続け、娯楽SFとしてトップクラスの出来。2021/01/26
sanosano
12
仕組みはよくわからないんだけど、他人と思考や感情を共有できるらしい。一度やると病みつきになるみたい。それが、ポストヒューマン技術と結びついたりして、凄いことになるらしい。でもそーすると、悪いことに使う人が出てくるからなぁ。話は科学的倫理観の方へ流れています。いつかの映画にありそうな感じ。下巻を読もうと思うくらいには面白いです。2019/02/11