出版社内容情報
SF界のホラ吹きおじさんの異名を持つ鬼才ラファティの魅力あふれる中短篇15篇を収録
内容説明
笛の音によって空に浮かぶ不思議な“月”。その“月”にときめいた子供時代の日々は遠く…表題作「昔には帰れない」をはじめ、神話的な過去と現在を巧みに溶かしあわせた「崖を登る」、悩みをかかえる奇妙なエイリアンがつぎつぎに訪れる名医とは…「忘れた義足」、ヒューゴー賞受賞に輝く奇妙奇天烈な名品「素顔のユリーマ」など、SF界きってのホラ吹きおじさんの魅力あふれる中短篇16篇を収録した日本オリジナル傑作集。
著者等紹介
ラファティ,R.A.[ラファティ,R.A.][Lafferty,R.A.]
1914年米国アイオワ州の生まれ。電気技師を経て、1960年、45歳の時にSF界にデビュー。ユーモアと幻想の入り混じった不思議な短篇で注目を集める。1968年にはじめて長篇を、それも立て続けに3冊発表。1972年には短篇「素顔のユリーマ」でヒューゴー賞を受賞した。2002年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sin
67
ラファティの作品はいってみればその観察眼と芝居っ気に際立ったものがある。大げさに言うようだが万物の本質を見抜く事に優れ、そしてそれらを茶目っ気たっぷりに演じ語りつくすところが凡百の作家とは違っているのではないだろうか?時にそれはクドクドしくなってしまう事もあるのだが…2015/11/05
Panzer Leader
58
初読みのラファティ、壮大なスケールと小ネタ満載のSFほら話で、ほら男爵やマーク・トウェインの短編のような味わい。でも何処までがほらで、何処までが実際の事実や歴史なのかが分かっていないと理解しずらい。分かっている人には楽しめるんだろうけど自分には一寸トゥー・マッチでした。2020/05/16
催涙雨
32
表題作「昔には帰れない」と「行間からはみだすものを読め」は対極的なようでどこか似ている。一方は思い出とは当時の身の丈にあっていたからこそ良きものであるという皮肉でもう一方は記憶や記録のあいだに挟まって忘れられているものに案外魅力が溢れているというもの。後者に関してはあまりにも冗長なため適当に読み流せ!という意味でつけたタイトルなのかと思ったほど。抜け落ちた記憶を行間と比喩しているのだと思うが。「パイン・キャッスル」や「月の裏側」のように明快なオチのつくホラーっぽいユーモア作も単純ながら面白い。2018/06/12
miroku
25
変な物語を普通に成立させているラファティの力量が優れているのか、単に煙に巻かれているだけか? まあ、面白いからどっちでもいいか♪2014/05/07
ニミッツクラス
19
12年の税抜940円の初版。本邦96年の「つぎの岩につづく」に次ぐ、伊藤・浅倉両氏訳による中短編集。「つぎの岩…」は米本国72年の底本があるが、本書は日本オリジナル。2部構成で16編を収録。第1部は伊藤氏曰く“シンプルな小品”群。貨幣の湧き出る財布「ぴかぴかコイン…」は哀愁漂うコントネタの様。カバーイメージの表題作も第1部。第2部は“ちとこじれ系&長めの浅倉訳作品”だそうで、初めての読者にとってラファティ離れの原因となる幾分こじれた話(多分著者の信条)が特徴。著者のA面とB面を堪能できる一冊。★★★★☆☆2018/08/09
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