内容説明
やっかいなことになった。よりによってダイディータウンのクローン娼婦から、失踪した恋人さがしを依頼されるとは!どんな快楽にも応じる美男美女のクローンが集う街―それがダイディータウンだ。いくら美女でも真民がクローンと恋におちるわけがない。とはいえ、女がさしだしたのは本物の金貨だ。で、おれは引き受けた、地球を揺るがすほどの大事件に巻きこまれるとも知らずに…鬼才が放つ傑作SFハードボイルド。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
maja
21
再読。快楽街のクローン娼婦に人探しを懇願される探偵ドライアー。真民がクローンと結婚するはずがないと笑い飛ばすものの、彼はこの件から散々な目に遭うのだ。薄暗い社会の近未来アメリカ・メガポリスを舞台にシグモントの語り口が弾むハードボイルドSF三連作中編集。ラストシーンに心温まる。うだつがあがらない巻き込まれ型探偵の人くささもいい味で楽しめる。2021/12/20
ニミッツクラス
9
98年の税抜660円の初版。著者の作品は若い頃に「城塞(=ザ・キープ)」を映画化した「ザ・キープ」(83年米)を深夜映画で見たなぁ。本書は著者の邦訳初SFとなり、ラナーグ・フェデレーション(全5巻)の一冊で米本国89年刊行。実際には7巻あるが、合本とコンプリートが1冊ずつ含まれる。カバーの女性は紅一点となるジーン・ハーローのクローンで、本物より美人だ(懐かしい)。ブレラン風の背景に電脳都市でのオプ物に脳ミソ掻き回される話かと思っていたが杞憂だった。著者のラナーグ物の5短編を猛烈に読んでみたい。★★★★☆☆2018/02/08
けいちゃっぷ
8
意外な拾いもの。タイトルが悪いのかな2008/03/24
たいへー
5
文句なしに面白い。テンポのいいストーリーに個性的なキャラクター、いたるところに仕掛けられた伏線が、思わぬ形で結びついて物語が広がっていく気持ち良さはこの作家ならでは。人類が外宇宙へ進出した未来。クローン技術が発達し、死んだ女優のDNAから造られたクローン美女があらゆる欲望を叶えてくれる街ダイディータウン。街の片隅で探偵業を営むシグのもとへクローンの女が人探しの依頼に訪れる所から物語は始まる。嫌々引き受けた依頼が、思わぬ展開を見せて未来世界の暗部を暴き出す大事件へと発展してゆく。爽やかな読後感がいい。2020/03/30
ギルヲ
5
パルプ・ノワールっぽいムードを上手くSFに移植してます。タイトルとカバー絵からは想像もつかないけれど、最後は感動的ですらある。隠れた傑作って感じです。面白かった。2016/03/18