内容説明
自らの自殺願望に気づいたヒルディは、今までの生活を一新すべく大胆にも女性に性転換してしまった。同時に、自殺率上昇の原因について、ひそかに調査を開始する。病気も貧困もないこの世界で何が人々の心を蝕んでいるのか。そんなとき、月面に遺棄された宇宙船ロバート・ハインライン号の周辺に幽霊が出没しているという噂が、ヒルディの記者魂を刺激した。小気味よい語りと愉しいアイデアに彩られた傑作SF長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bowmorelover
11
長かった…疲れた…数々のSFアイデア、セントラル・コンピューター、性転換、長命治療、はとても面白い。しかし若干脱線気味になりだるくなってくる。しかし後半になって出てくる「ハインライナー」の登場によって急展開してくる。とても長いが一読の価値あり。2012/03/23
爐
2
人間の生を第一に考え保護・管理・監視するコンピュータ、CCの力によって作り上げられるリベラルな消費社会ユートピアは、生の意味やオーセンシティを問うてしまうと途端に実存的不安が襲ってくるような危うい地点の高度さに達していて、ぶっ飛んだ設定が楽しいと同時にスペキュラティブな面白さもあるし、エピソードもテーマ性に沿って練られていて刺激的な小説だ、と思っていたのだが後半はハインライン的な右派アナーキズムへのシンパシーをそんな魅力的な世界を眺める主要なパースペクティブにしすぎた退屈さが否めずわりとうんざりした。2016/06/24
つかさちゃん
2
なぜ月世界を管理するAIは鬱に罹ってしまったのか? その謎が明かされ、それまでなんの脈絡もないように思えていた設定やサブプロットが収束する瞬間の、ほろ苦さ。これこそがヴァーリイSFの味なんでしょうなぁ。2009/01/09
ヒロくん(脱脂)
1
うーん、エピソードや設定が羅列され続けてちょっと読むのがしんどい。一つ一つの話はとても面白いんですが。短編連作集の体をとっていたらもっと楽しめたかも。分裂症の巨大AIとの対話はとても興味深い。2016/09/10
shunta
1
とにかく長い。虐殺器官の参考になった本でなければ読むのを断念したと思う。電子の幻想の無人島に迷い込む所は良かった。900Pあるけどそのうち600Pは必要ない感じ。短編集をまとめて無理くり長編にしましたって感じ。このへんを無駄と捉えるか醍醐味と捉えるかで評価は分かれそう。個々のエピソードの出来は凄い。論理的に読み進める人には辛い2016/02/25