内容説明
土星の衛星イアペトゥスで、異星人の遺物が発見された。スペースコロニーにある大学の考古学教授クリアスらが表面の図形を解読した結果、驚くべきことがわかった。土星近傍には同じような物体がいくつか隠され、その指示に従えば、異星人が太陽系に残した“贈り物”のありかがわかるというのだ。クリアスは無限のテクノロジーをコロニーのものとすべく旅立ったが、この情報を入手した地球側も急遽宇宙船を派遣。かくして宇宙船同士の白熱したレースが、苛酷な環境の土星系で展開されることになった。最新の科学情報を存分に駆使したファン待望のニュー・ハードSF登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スター
48
読みやすかったけど、科学の専門知識とか、理解できない部分も結構あった。そういうのに詳しい人が読めば、より面白く感じるのだろう。 スペースコロニーの住人と、地球の住人が対立してるという設定は、ガンダムに似たところも。2019/09/16
亮人
24
正統派・土星探索冒険SF。土星の衛星から発見されたメッセージプレートを頼りに、タイタンから果ては土星のガス大気の中まで、縦横無尽の大冒険。胸躍らざるをえないでしょ!歴史学教授と天才少年のコンビの年齢を超えた友情も読みどころ。別れあり丁々発止のやりとりありで、往年のライトノベルの感もあり楽しい。土星の、圧倒的ヴィジュアルの壮大さと、科学的描写のハードSF成分も、読み応え充分。たのしいエンタメ宇宙SFでした!2014/02/02
ニミッツクラス
17
88年の520円の初版。カバーは加藤氏で、消費税3%は翌年からだ。ほぼ一発屋作者による米本国86年の作ながら大当たり! まさに“寡作ながらハードSFと冒険SFを融合させた”作品で“ストレートな宇宙SF”。設定として、系内で遺棄宇宙船や施設を発見すると言う直截的な作品にも心躍るが、本書のように意図的な手掛かりを見つけてそれを回収し謎を解明できる技術水準や、種としての弾力性を試されるような、そして読者を苛つかせない程度の政治的駆引きを含む冒険譚は、正月を潰して読むに値するだろう。分冊で続編も有る。★★★★★☆2020/01/06
sakadonohito
11
ハードSFというものでしょうか。土星の衛星で見つかった異星人の異物を解読して...という始まり。面白かったです(小並)。うまく言語化できないのですが、過去に読んだハードSFの中では断然読みやすかった。エンタメ感が強いからかもしれません。2024/04/30
jojou
5
太古の異星人が太陽系に遺した「贈り物」をめぐってコロニーと地球が熾烈な宝探し競争を繰り広げる、そういう内容の本格冒険宇宙SF。情けない中年主人公の成長には心を動かされるし、超天才児との歳の差の友情もいとおしい。が、突出して印象に残ったのは最後の降下の場面。緊迫感と疾走感のある描写で一気に読んでしまう。かなり興奮した。2022/02/03