内容説明
ニュー・ジャージー州シーカークの町は、不正と腐敗にみちていた。正義をなによりも愛するマーヴィン・グッドマンは、もうがまんできなかった。ユートピアだと聞いている、銀河の果ての惑星トラナイへ思いきって旅立つのだ!だが、彼を待っていたのは、あまりにも奇妙なユートピア社会だった…「トラナイへの切符」、エルボナイ星の若きスカウト団員ドロッグが獰猛なミラッシュをみごと仕留める話「狩猟の問題」、宇宙に自分だけの星を求めた男がたどる皮肉な運命を描く表題作ほか、短篇の名手シェクリイがつづる、シニカルなユーモアと優しさにみちた傑作12篇を収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スターライト
10
シェクリイの第二短篇集。標題作など12篇を収録。「名前のない山」「狩猟の問題」「触るべからず」などテーマでいえばファーストコンタクトものが多いがいずれも趣向が凝らされており、「触るべからず」などは皮肉の利いた痛快な作品となっている。皮肉が利いた、といえば「無から有」「トラナイへの切符」あたりにもいえ、前者は万能機械の無許可使用がばれて多額の費用を肉体労働で”返済”するが、無料だったただ一つのものが結局余計だったことがわかるし、後者は途中からラストがわかるものの最後まで読ませる筆力はさすが。2022/01/11
かながわ
6
安定のおもしろさ。コミックインフェルノまたは楽しき哉地獄とは良い得て妙。そんなに激しくなくほっこりもあるよ。一等は「トラナイへの切符」で。2022/09/19
二升石
2
奇抜で、隙が無くて、余計な小難しさなんて見当たらない。読書中は次の展開が楽しみで、読み終えたならタイトルすらもさっさと忘れる。なので一切雑味も残すこと無く、間髪入れずに次の話へ読み進められる…。こういうの娯楽小説として最高だと思う。どこかで『シェクリイの作品は賞味期限が短い』との一文を見かけていたがこれで一安心。[静かなる水のほとり]を書いた方であれば、やはり一定の評価や敬意と共にその名は伝えられて行って欲しいと強く思う。個人的に、コミュニケーション論や厭世観を孕んだ作品が多かったことも気持ちに滲んだ。2022/05/24
記憶喪失した男
2
全体としては、質の落ちる短編集。だが、「会計士」は大好き。ぼくの好きなことば、「人間なんて、ただのスーパークラゲだ」はこの本のどこかに書いてあった。「狩人の問題」や「徘徊許可証」は面白い。
ベック
2
温かみと風刺があり、アイディアストーリー特有の機智にあふれている。「触るべからず」、「徘徊許可証」の偉大な勘違いには笑ってしまうし、「狩猟の問題」の憎めないユーモアや、タイムパラドックスの逸品「時間泥棒」などバラエティーに富んだ楽しさだった。
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