内容説明
中性子星ヴォイの周囲をめぐる直径数万キロの濃密な大気の輪〈スモーク・リング〉は、奇怪な動植物にあふれた、自由落下状態の楽園だった。なかを漂う巨大な積分記号形の樹“インテグラル・ツリー”では、地球からやってきた播種ラム・シップの乗員の末裔たちが、牧歌的な暮らしを営んでいる。だかそのクィン一族に、いま飢饉の恐怖が忍びよろうとしていた。新たな食料を見つけて一族を救うべく、壮大な旅に出た若者たちが遭遇したものは?ハードSFの巨匠が『リングワールド』にまさるとも劣らぬ魅力的でカラフルな世界をみごとに創造し、ファンを熱狂させた最新SF!ローカス賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アルビレオ@海峡の街
9
いかにもファンタジーっぽい表紙のため、何となく読む気になれず内容も知らないまま長年積読していた。今回、続編の入手をきっかけに読む事にした。スモーク・リングと呼ばれる、中性子星を取り巻く巨大な生命圏。そのスモーク・リングの中にはまるで積分記号(インテグラルシンボル)の様な形をした樹があり、人類の末裔である様々一族が、多種多様な動植物たちと共に暮らしている。彼らにとって空は海の様なものであり、樹という陸地にしがみついて生活している。2014/04/18
ゆき (Kou)
5
アイデア賞SF。中性子星ヴォイの周囲をドーナッツ上に囲む大気の輪、スモーク・リング。その自由落下状態の世界には環境に適応した生態系が発達し、飛行能力を持った動植物がフワフワと漂っていた。その一つが両端に茂る森林を備えた、長さ100キロメートルに細長く伸びる、インテクラルツリーだ。両端の森は潮汐力によりそれぞれ擬似重力を持ち、惑星から水平に直立するツリーの姿勢を保つとともに、空を飛べない人間の格好の居住区となっていた。主人公ギャヴィングは、そんな世界で・・・、ううむ、設定の説明だけで文字数が尽きてしまった。2018/04/08
Empirestar
5
まるで空気の海というべき、スモークリングの世界で世界に適応した人類の末裔が、他の末裔と争いながらも種族を存続させていこうとする話。積分記号の形をしたインテグラル樹に住む人類、というアイディアだけでも面白いのに、それに加えて進化の話と物理学の裏打ちがあるので、ものすごく面白い。この物語の面白いところは二つの要素、箱庭的なSF設定(環境適応した生物群)と旧来の社会機構をベースにした独自の慣習とルールに従った反乱者たちの子孫たちの冒険物語が同時に楽しめることではないだろうか。2009/05/27
ふじい
2
ドーナツ状の一気圧の空気でできた地球の気圏30倍の広さを持つ世界。 ここに恒星間船でたどり着いた人類の末裔の話。 2017/12/20
レンズマン
2
693 ニーヴンの中でも屈指の面白さです
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