内容説明
アリゾナの公共プールの管理人が、奇蹟の訪れに気づいたきっかけは、淡い海のにおいだった。晴れわたった砂漠の町のプールに、なぜ潮の香りが…？名作の誉れ高い表題作のほか、悪魔に論文を代筆させた大学教授の物語「学者の弟子」、未来の自分と電話で話した男の数奇な運命を描いた「受話器のむこう側」、時間を超越した、ふたりだけの世界に住みついてしまった恋人たちの話「据置き家賃」など、映画『地球に落ちてきた男』『ハスラー』の原作者として名高いテヴィスが、都会的ユーモアとウィットをまじえて軽妙かつロマンティックに描きあげた傑作ＳＦ全１３篇を結集！
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けいちゃっぷ
18
『ハスラー』が気にいったので、ＳＦ短篇集のこれも読んでみようかと。 前半７作が晩年に書かれたもの。 「変」なのもありますが、全体にまあまあかなという印象。 後半６作は５０～６０年代に書かれたもので、こちらはＳＦの初心者にも読んでもらいたいような面白さに溢れてます。 なかでも「金煉瓦」のバカＳＦぶりは秀逸。 ３０４ページ 2017/08/16
スターライト
11
映画「ハスラー」の原作者というよりは、個人的には『地球に落ちてきた男』の作者であるテヴィスの短篇集。巻末解説によれば、テヴィスは疎外感を感じていたという。現代に生きる我々の少なくない人たちが思っていると言ってしまえば終わりだが、それを様々なシチュエーションで描いている作品群には共感とともに一抹の寂しさもともなう。ユーモラスな表題作も捨てがたいが、シニカルな雰囲気が漂う「運がない」に惹かれるのは、ぼくの今の心境を反映しているのかもしれない。2018/07/05
KANEO
6
ＳＦ短編集。１部が晩年作品群で２部が初期作品群のようですが、その作風の違いに驚かされます。１部は露骨で生生しい性描写（しかもインセストな…）が衝撃的。２部は王道的なＳＦ短編集っといった感じ。１部と２部を比べてみるのもまた一興か。晩年の著者がどのような状況だったのか興味深いところです。今回のお気に入りは殺害した妻が惑星と同化して甦る『マイラの焦点』と遠い未来で再生させられた男の奇譚『エコー』の２作。2013/01/16
ロビー
1
中学生の頃に読んだ短編SF集。タイトルを忘れていて、人の助けで再読することが出来た。小気味よいキレのある短編が多いが"ぼく"と発明家の友人ファーンズワスの二人が主人公のSFホラーめいた2編が面白かった。初期佳作集の2部と、晩年作の1部の2部構成。晩年のセクシーというか近親相姦の禁忌（しかも死者との。。。）や、自分自身のクローンとの姦通などかなり際どいので、中学生の僕にはかなり刺激が強かったのではなかろうかと思う。とはいえ、20年ぶりに読んでも色褪せない面白さでした。2012/04/02
fuchsia
1
かなりインセストっぽい内容の作品も含まれるのでまあ、復刊されることはまず無いでしょうが、世間と常にズレがちなワタクシには、なんというか、同病相哀れむ的魅力オーラ満載な1冊です。
