感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
4
封建社会に存在するロボットたちのおとぎ話や笑い話は、消費される物語にはならず、子どもにアリとキリギリスのどちらかの生き方を暗に選ばせる寓話のように、読む者自身が馴染む世界を異化する。おとぎ話でお馴染みの騎士、独裁者、王の偽相談役、結婚間近のお姫様の中で、魔法使いでなく建造士が配置され、時折合理性がいかさまによって嘲笑されると、読者はこのおとぎ話集が虚構に収まるファンタジーなどでなく、読者の現実を笑いと共に吹き飛ばす爆弾だと気づくはずだ。魔術と見まがうほど技術の発達した世界とは、おそらく封建社会なのである。2019/01/05
aki
2
レムの作品では、これと姉妹編の『宇宙創世記ロボットの旅』が一番好きかなあ(あと泰平ヨンの初期のやつ。航星日記とかね)。ロボット(といっても宇宙創造士という、万能サイバネ神)を主人公にした、ある種の「宇宙ほら話」で、後年のような文明批判や風刺、哲学性が、それほど全面に出てきていないので、読みやすい。半世紀前に読んだときは、これの長編化など夢にもおもわなかったが、『三体』を読んだ後だと長編化できそうな短編がいくつかあることに気づく。ありえたかも知れぬ、もうひとりのレムの作品を読みたかった。2023/11/08
レンズマン
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