感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
45
厳粛な倫理観によって統治された社会に息苦しさを覚えていた言語学者、ハルは異星へのフィールド・ワーク中に一人の美しい女性、ジャネットと出逢った。素直に愛情を表現してくるジャネットに心惹かれ、愛するようになる二人。しかし、待ち受けていたものは・・・・。ジャネットとハルの交流が微笑ましかった分、合理主義のファボが導き出した残酷な真実と結末には胸を絞めつけられます。でも二人で過ごした時間にはその真実すらも越えた「愛」は確かにあったのだと信じずにはいられません。2014/09/02
bookkeeper
17
★★★☆☆ 再読。戒律に縛られた管理社会となった未来。社会にどこか馴染めない主人公は、遠い惑星への先遣隊になり、そこで何故か美女と出会う。監視の目を逃れながら愛を育む二人だが…。 異星人の方が遥かに平和主義で賢いのが、気分良いです。ヒトの未来社会は歪で、思考も卑劣。それだけに先遣隊に出るまでは、重苦しい雰囲気と頻出する謎用語で読むのが辛かった。ヒロインの希望は、お酒飲みたいとかおヒゲ剃ってとか、結構普通なんだけど(笑)、主人公の世界ではとにかくハードル高いのも面白い。ただ長編でなくても良かったのでは…2018/12/19
亮人
9
エロい話との噂を聞いて、期待(?)してたのに、全然エロくねー。でもラストの生物学SFの作りこみに大いに感心。このラストに嫌悪感を示すかどうかで、SF的思考(嗜好)を持っているかの試金石になるとの話を聴いた事があるが、俺的には全然OKだった。2010/10/01
仲本テンカ
7
愛されることに長けた異星人と、抑圧社会で育った地球人。そんな二人が出会った瞬間、惹かれ合い、愛しあう。けれども、それを許さない抑圧社会の権化たち。その展開だけでも面白いのに、愛された異星人のジャネット。彼女の秘密が、これまた凄い。とにかく、愛されるって、最強の(種の)生存戦略なのかもしれません。ファボがクール。2013/06/29
メイロング
7
古びてないねえ。ハルの言語学者という設定が生き生きとして、主人公の地位を不動のものとしている力強さがすごい。ラストシーンのフォボはミステリの探偵役みたい。ジャネットの登場する場面がもっと多く、より印象的だったら、結末に至るシーンはさらに破壊力が上がりそうなのに。解説で紹介されるファーマーの生涯も小説のよう。2013/01/16
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