感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
38
最後の試験を乗り越え、フレーメンの頂点に立ったポウル。いろんな謎が一気に解けていく最終巻は、怒濤の展開。ストーリーとしてはよくある復讐譚だが、巻末の補遺を読むと、話の背景にはかなり重いものを持っていることが分かる。長い話が終わって、でも、やっと話は始まったばかりという感じがするのもそのためだろう。麻薬のようでもある香料(スパイス)を食するフレーメンの多分に宗教的な世界や帝国の支配体制など、物語が持っている世界観を充分理解しそこに入り込めるかどうかによって、この話の印象は大きく変わるのではないだろうか。2015/10/06
姉勤
35
砂漠の民フレーメンに戴かれたポウルは、巨大な砂漠の生物サンドウォーム(某アニメのドウモウにそっくり)を駆り、支配体制に対し反攻作戦を開始する。父を殺めた男爵とそれを継いだ甥に復讐を遂げ、スパイスを質にしてアラキスの独立と、心理操作を可能とする声(ヴォイス)をつかい、皇帝に娘の嫁入を強要する。未来が見通せる人物たちが納得しながら話が進むため、物語の因果が腑に落ちず。 続編ありきの結末。砂漠の星を緑の星に変えるテラフォーミング神話は、まだ当分先のようだ。2015/11/22
新田新一
23
今回再読して、なぜこの物語が現代SFの最高傑作と言われるか分かりました。この巻では、主人公のポウルがさまざまな試練を経て、フレーメンの長として認められるまでが描かれています。ボウルはフレーメンの敵のハルコンネンも撃破。作者は巧みなストーリーテリングで物語を引っ張り、アラキスという過酷な世界を緻密に描き、登場人物たちの心情を深く掘り下げて書くことに成功しています。これほど面白くて、独創性を感じる物語は少ないです。SFの分野だけではなく、一般の小説の分野においても名作と言えるかもしれません。続編も読みます。2024/09/27
Tadashi_N
20
伯爵対男爵の闘い。とりあえず一段落。2022/04/20
鐵太郎
20
全体としてみると、痛快で見事な復讐譚となっています。今回読み直して、時間の経過をきちんと整理すると、最初読んだ時の時間的なバランスのおかしさが解消されてきちんとした構成がよく分かりました。背景にあるのは、精緻に構成されたファンタジックな未来の貴族社会、そして特殊な世界の生態系。それからイスラムの宗教的世界と西欧文化の激突。そして新たな救世主伝説。続編が次々と書き継がれましたが、だんだんと訳わからなくなっていったのを覚えています。この先を今の年齢で読み直したら、どんな評価ができるだろう。ちょっと楽しみ。2011/02/03