感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
185
凄いものを読んだ。楽しかった。核戦争後の荒廃した世界を、血清を積んでロサンゼルスからボストンまで、つまり大陸を横切る話。主人公はイカレた悪党で強盗のボスだった男。巨大竜巻に巨大雷、放射能で巨大化したトカゲやコウモリが襲ってくるし、頭をモヒカンにした暴走族が中指立ててヒャホウと叫びながら追いすがる。それを機銃弾・火炎放射擲弾を浴びせながら逃げまくるのだ。67年だからこそ描けた、チープなB級感たっぷりの娯楽小説なのだ。あの頃はおもろい小説が多かったなと。2021/03/23
GaGa
40
再読。現在手に入れられるゼラズニイの作品はどのくらいあるのだろうか。この作品はゼラズニイの中では比較的判りやすい作品で。とても劇画チックな内容である。確か「地球の燃えつきる日」とかいうタイトルでアメリカで映画化されたがひどい代物だったことをぼんやりと記憶している。血清を届けるためにアメリカ大陸を疾走する悪たち。何も考えず痛快さを楽しむのにはもってこいの小説です。2010/12/03
植田 和昭
20
映画「世界が燃え尽きる日」の原作だと知って購入。映画はあまりにもお粗末だったが、原作は100倍おもしろかった。ランドマスター以外原作と同じ所は映画で無いと思うのだけれど。2015/05/26
スターライト
14
核戦後のアメリカでペストの血清を運ぶため、特殊車両で大陸を横断する、という設定にあまり魅力を感じなかったのでこれまで読まなかったが、やはり知ったかぶりや食わず嫌いはよくない。ミッションは単純だが、気候や環境が激変した中、古の西部劇をなぞったかのように(しかし方向は西から東なので、正反対)無法者の襲撃をかいくぐる主人公の姿をゼラズニイが書くと、かくもドラマティックになるのか。絵にかいたようなヒーローではないものの、いつの間にか使命を最後まで果たそうとするタナーはかっこいい。古き良きアメリカの姿がここにある。2018/05/01
DEAN SAITO@1年100冊
8
荒野を爆走するならず者、という「マッドマックス」の世界観。直線的かつわりと単純なストーリー運びのため、ゼラズニイ得意の難解でスタイリッシュな文体は鳴りを潜めているが、一方で、映画の一場面をスローモーションで見ているかのような感覚が味わえる、臨場感あふれる描写は健在。(オートバイの一群に襲われ、反撃の一手として懐のライターを点ける、そのたった一文が最高に格好良かった)2019/03/22