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出版社内容情報
難病を患い、車椅子で生活をするダニエルは、玄関ポーチから近所を観察することを趣味としていた。頻繁に通る若い女性のことが少し気になるダニエルだったが、ある日、彼女が誘拐される場面を目撃してしまう。彼はネットを駆使して独自の捜査を始めるが……。
内容説明
ダニエルは26歳。難病で常に呼吸停止の危険に晒されているものの、朝食後には電動車椅子で玄関ポーチに出て、外の空気を吸うのが好きだった。毎朝、家の前を歩く彼女を心待ちにしていたが、携帯を見ている彼女は気づかない。それでもある朝彼女は顔をあげ微笑んでくれたが、見知らぬ車に乗りこんで行ってしまった。数日後、彼女が行方不明だと知ったダニエルは誘拐を疑いSNSに目撃情報を投稿すると、謎の人物から脅迫メールが届きはじめて…。サスペンスフルなのに読後に胸が熱くなる新感覚ミステリ登場。
著者等紹介
リーチ,ウィル[リーチ,ウィル] [Leitch,Will]
“ニューヨーク・マガジン”に寄稿し、MLB.comの記者をつとめている。また“ニューヨーク・タイムズ”、NBCニュース、ミディアム、“ワシントン・ポスト”にも定期的に寄稿しており、スポーツに関するウェブサイト、デッドスピンの創設者でもある。現在は妻とふたりの息子とともにジョージア州アセンズ在住
服部京子[ハットリキョウコ]
中央大学文学部卒。英米文学翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
80
主人公はダニエル26歳、進行性の難病、脊髄性筋萎縮症(SMA)を患っている。自力で動かせる体の部位はほんのわずかだ。タイトルから勘違いしがちだがこの青年の職業は探偵ではない。本作品で最初から最後まで語られるのは彼の日常生活。できることできないこと、他人からの視線、失敗、何を思うか、周囲の人々との関係。ダニエルが健常者ならこのミステリーは簡単に解決されスリルもない。移民と障害、生きる事を考えさせられるのだが…どうもエドガー賞には合わないものが多いと再認識した作品(2022年エドガー賞最優秀長篇賞最終候補作)2024/05/19
しゃお
35
進行性の難病、SMA(脊髄性筋萎縮症)を患う26歳の青年ダニエルの語りで描かれる物語。ミステリとしての側面よりも、難病に冒され時には呼吸が止まる事もあるという、死を常に意識している主人公だけど、決して悲嘆せず周りの人たちとの関りによって前向きに生を謳歌する様子を描いた青春小説といった趣き。死を受け入れているように見えても、やはり生きたいと願う想い、ダニエルの周りの人たちへの感謝や生きる喜びが、ユーモラスな語り口の中でなんとも胸を打ちますし、ダニエルを通じて自分自身の幸運を見つめ直したくなりました。2024/06/27
しゃお
28
【再読】トラヴィス、本当にいい友人だなぁ。同じ男として憧れ惚れます。ダニエルとダニエルの母のために送ったプレゼントには思わず笑ってしまうけど、そのさりげない優しさに胸が熱くなります。マージャニも素敵で、トラヴィスとの微笑ましい感じが好き。それに終盤の活躍は格好良い上に愛情の深さがよく伝わってきます。何よりダニエルが冗談めいた軽口の中で教えてくれる事は胸を打ちます。最後にダニエルが伝えてくれる事、幸運な人生を噛み締めたい。うん、本当にいい小説です。2025/02/09
くさてる
27
題名で想像した内容(事故で引退した元刑事が探偵となったのかな?と)とはまったく違い、進行性の難病により車椅子生活を余儀なくされ、常に呼吸停止の危険に晒されつつも自宅で働き、友人とも交流している青年の話だった。難病というテーマの重苦しさから逃げず、けれど軽妙なユーモアも忘れず、サスペンスとしての面白さもしっかりあって良い一冊でした。2025/05/14
み
23
一気読み^ ^探偵といえば探偵モノですが、SMAという疾患を知る作品かも。興味深く読みました。2024/09/21