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出版社内容情報
フィリップ・マーロウも72歳。探偵はとっくに引退、ホテルのテラスでマルガリータを飲み、カードを楽しむ日々を送っている。保険屋を名乗る怪しげな男たちの依頼で十年ぶりに仕事に復帰するが、なぜ今になって彼に仕事が……。新鋭が描く、1988年のマーロウ譚
内容説明
フィリップ・マーロウ、72歳。私立探偵は十年前に引退して、今はメキシコで隠居の身。ホテルのテラスでマルガリータを啜り、カード遊びで時間を潰す毎日だ。しかしそんなマーロウに久しぶりの依頼が。溺死したとされる不動産業者が実際に事故で死んだのか確かめてほしいという。保険会社は偽装を疑っていた。マーロウは男の足跡を追い、カリフォルニアとメキシコを行き来する。やがて男の妻、美しいドロレスと出会い―。異色の作家がチャンドラーに捧げて描く、杖を突きながら異国の地を行く、老境のマーロウ!
著者等紹介
オズボーン,ローレンス[オズボーン,ローレンス] [Osborne,Lawrence]
1958年生まれ。英国の作家。世界放浪の末、現在はバンコク在住
田口俊樹[タグチトシキ]
1950年生、早稲田大学文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ
79
主人公に72歳のフィリップ・マーロウを持ってくるという斬新な設定のバード・ボイルドだった。今はメキシコで隠居の身。そんなマーロウに溺死したとされる不動産業者が、実際に事故で死んだのか確かめてほしいという依頼が舞い込む。マーロウは男の足跡を追い調査を開始する。決してつまらなくはないが、チャンドラーを意識するとかなり異質な感じは否めない。チャンドラーの作品をウエスタンだとすると、本作はマカロニ・ウエスタンだという印象を受ける。それでもチャンドラーファンの自分としてはこの本に巡り合えたのは一つの収穫だった。2020/03/17
あさうみ
47
作家レイモンド・チャドラーの探偵フィリップ・マーロウの老後(外伝的な?)を別作家が書きだす。いや、あのフィリップ・マーロウとは読み終わる最後まで気づかなかった…。壮年の穏やかな憂さ、哀愁のある語り口に入り込めたらハマるんだろうな。レイモンド・チャドラーの作品を読んだ記憶がないので通読してから読むとまた違うのだろう。2020/01/13
Y2K☮
32
著者初読。緻密な風景描写や例の飲み物など、随所にチャンドラーへのオマージュを感じた。ストーリーのいい意味での冗長さや登場人物の造形も含めて。ただ惜しいことに、私のワガママなファン心理はどうしても主人公を72歳のフィリップ・マーロウとは認識しなかった。ゆえに途中からは日本文化をこよなく愛する、彼と同姓同名で近い世代の元・同業者に頭の中で置き換えた。だってマーロウが○○○化した姿など誰が想像できる? 老いてなお伝説の右フックは健在というわけにはいかなかったのか。荻原浩「ハードボイルド・エッグ」が恋しくなった。2023/04/01
ハスゴン
29
高齢者のマーロウという斬新な設定だが、雰囲気はよく掴んでいると思う。2020/04/05
ぽてち
28
探偵業を引退し、メキシコで悠々自適の日々を送るフィリップ・マーロウが主人公。言うまでもなくレイモンド・チャンドラーが創造したキャラクターだ。マーロウの新作が読める期待感と、老境に入った主人公への危惧が相半ばする状態で読み始めたが、結論から言うとまったく楽しめなかった。新作なのに古いという偽物感がつきまとい、展開も安易なうえ無駄な描写が多すぎる。マーロウじいさんも、ぼくのイメージとはかけ離れていた。ただのすけべ爺、ストーカーにしか見えなかった。2020/03/14