- ホーム
- > 和書
- > 新書・選書
- > ノベルス
- > ハヤカワポケットミステリー
出版社内容情報
[]
著・文・その他
内容説明
九歳で親を亡くしたジェーン・スティールは、親戚によって寄宿学校に送られた。そこで彼女を待っていたのは、想像を絶する過酷な日々だった…。艱難辛苦の末に自由の身となった彼女は、人目を避けてロンドンの片隅に暮らしていた。そしてある日、幼少期を過ごした屋敷の新しい主が出した求人広告を目にし、思う―あの屋敷を手に入れられないだろうか?そして彼女は素性を偽って屋敷で働きはじめるが、インド帰りの謎めいた主人と惹かれあい…。気丈なヒロインの活躍を描く異色のヴィクトリア朝ミステリ!
著者等紹介
フェイ,リンジー[フェイ,リンジー] [Faye,Lyndsay]
2009年にデビュー。2016年に発表した『ジェーン・スティールの告白』はアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞候補となった。ニューヨーク市在住
川副智子[カワゾエトモコ]
早稲田大学文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
seacalf
44
あの『ジェーン・エア』を下地にシリアルキラーの家庭教師を主役に据えているのがユニーク。ヴィクトリア時代風のクラシカルな文章が読者を当時の英国へと誘う。少女時代から寄宿学校時代、ロンドン生活を経て家庭教師としてハイゲート・ハウスに戻るまでの長い長いお話。中々頁が進まないがラスト前で急転直下、見せ場たっぷりの攻防にとろけるようなシーンが続き、最後はお伽話お決まりのhappily ever after。少々冗長気味に感じて肌に合わなかったかな。キルフェザーやクラーク等、主役より脇役達の方がとても魅力的に映った。2018/04/22
星落秋風五丈原
37
いやヒロイン人殺しすぎじゃないですか。こういうのがいまふうジェインエアなのかなぁ。2018/03/19
あさうみ
35
幼くして孤児となり艱難辛苦の環境で、生き抜くために殺人を犯すジェーンが主人公。ノワール小説のような雰囲気(前向きな“白夜行”を読んでる感じ)に歴史ミステリーを絡めた恋愛小説と上手く調和していた。ジェーン・エアを知ってたらもっと楽しめるのだろう。円満な結末は清清しい。キャラも生き生きしている(キルフェザー刑事がお気に入り)ダークヒロインが苦境を乗り越え、逞しく生きる様は読み応えがあった。2018/02/18
himehikage
18
『ジェーン・エア』のオマージュであるこの小説は、前半はフェミニストなら実に痛快と感じるだろうなんとピカレスク!(本の表紙からはまったく想像つかなかった!) 後半は少し様子が変わってロマンチックな歴史ミステリーという趣で、楽しかった。リンジー・フェイの歴史ミステリーに注ぐ熱量が伝わる文章が好き。次も出たら必ず読むよ。2019/05/25
アプネア
18
鋼の心にナイフを忍ばせる主人公・ジェーン・スティール。広義においてはピカレスクロマンか?数々の引用、サンプリングから「ジェーン・エア」をモチーフにしている事は明らか。それは単なる目配せ的なディテールではなく、後半、それ自体ある種ごった煮の独自スタイルを構築し、冒険・歴史・ミステリ・ロマンスとテンコ盛り。女性の自立という主題は通底しているが、それを努力や信仰ではなく、殺人によって道を切り開くという身も蓋もない行為。それでもなお主人公を応援してしまうのは、それらが利他的な思いに起因しているからなのだろう。2018/06/10