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出版社内容情報
レナードの代表作『ラブラバ』の新訳版!
内容説明
「その映画スターは彼が生まれて初めて恋した相手だった。十二歳のときに」シークレット・サーヴィスの元特別捜査官で今は写真家のジョー・ラブラバは、かつての有名女優ジーン・ショーと出会った。憧れの女を目の前にして、彼の心は浮き立った。徐々に近づいていくふたりだが、ジーンの周りには財産狙いの悪党どもがたむろする。ラブラバは女の窮地を救うべく動き出すのだが…。陽光溢れるマイアミのサウスビーチを舞台に、巨匠が描き上げる男と女の影。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。待望の新訳版!
著者等紹介
レナード,エルモア[レナード,エルモア] [Leonard,Elmore]
1925年生まれ。1992年アメリカ探偵作家クラブ賞巨匠賞受賞。2013年没
田口俊樹[タグチトシキ]
1950年生、早稲田大学文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
124
理解に苦しむ世界だな。モーリスとジーンがどういう人かは、最後のページに書かれているとおり。それが分からないのはラブラバだけじゃないのよ、まったく。色んなカッコいい経歴の持ち主なのにね。麻薬の捜査に、シークレットサービスに、写真の腕。なのに、なんてモノに振り回されてるのかしら。情けない。きっと、彼の目は白黒しか見えないレンズなのね。シワもタルミもくすみもよく見えない。もしかしたら輪郭しか分かってないのかも。物事の白黒すら怪しいんだから。2018/02/25
starbro
115
図書館の新刊コーナーで新訳版を見つけて、かなり久しぶりにエルモア・レナードを読みました。軽妙な会話&ストーリー展開で楽しめましたが、これがエルモア・レナードの代表作、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作というと微妙です。2018/01/23
harass
77
ひいきだった作家の代表作の新訳。舞台のマイアミ高級住宅地で、表題の名のカメラマンは少年時代に憧れた映画女優に出会う。凶暴で愚鈍なハンサムな白人と頭の回るキューバ難民のコンビが何やら企むのだが…… 彼の作風を再確認した。生きた会話と類型を外す人物造形と予測のつかない展開。あとがきにあるが独特の話法が肝か。旧訳から十数年ぶりの再読であるが、車椅子のシーンには再度感心。癖のある変化球ばかりで、面食らうところもある。この作家のベストとは思わないが、初レナードとしてはおすすめ。2018/02/14
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
26
すご、カッコいい男ラブラバ。誰かが誰かを騙しているのだけど、何を書いてもネタバレだから何も言えない。キューバから難民が押し寄せた頃のフロリダ。ダンスとお酒とプールの老後を送るお金持ちの老人達と、貧しい難民たちで一種退廃的なフロリダで何が起こっているのか。なんだか不気味なラスト。ジーンみたいなステキな50女になりたいものである。2019/06/02
田中
24
こんな結末になるのかと新鮮に驚いた。ラブラバは、ひとつの米国的騎士道精神を体現したように感じた。劇中劇のような元スター女優を取り巻く犯罪ものである。そんな中で悪漢たちのヌケ作ぶりが面白い。レナード後期作品の中で村上春樹さんが自らの造語である「コンテンポラリー・ノワール・ミステリー」の中では一番好きなのがこの本であると述べている。だからとても興味深く読んだが、最後は優しい感情がわき上がってきた。事件の本質から常に外れている脳天気な老人モーリスに親密感を覚える。彼が居るから周りは幸福になるのだろう。2021/11/28