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出版社内容情報
北欧最高峰「ガラスの鍵」賞、デンマーク推理作家アカデミー賞最優秀長篇賞受賞作。
内容説明
デンマークの僻地に住む一家。ほぼ自給自足の幸せな暮らしは、クリスマスに起きた事件を境に一変する。変わり者の父は偏屈さを増し、物静かな母は次第に動けなくなり、少女リウはゴミ屋敷と化した家で、隔絶された世界しか知らずに育っていく。やがて赤ん坊が生まれることになったが、そのときリウは父の意外な姿を目にし…。一家はなぜこうなってしまったのか?心を打つ切なさで北欧ミステリ界に新風を吹きこみ、北欧最高のミステリ賞「ガラスの鍵」賞およびデンマーク推理作家アカデミー賞の二冠に輝いた傑作長篇。
著者等紹介
リール,エーネ[リール,エーネ] [Riel,Ane]
1971年デンマーク生まれ。児童書や教科書の執筆に携わった後、2013年に長篇デビュー。第二作にあたる『樹脂』で「ガラスの鍵」賞を受賞するなど高い評価を受けた
枇谷玲子[ヒダニレイコ]
大阪外国語大学卒、北欧文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
120
溜め込みや(ゴミ屋敷)、超肥満、毒親といやな要素が詰め込まれている。何故イェンスがまともな夫、父親になれなかったのか、よくわからない。リウが最後救われたのかと思ったが、ひょっとして一番怖いのがこの子かも。2018/07/18
mocha
108
どんなに異常な環境でも、そこで生まれ育てば日常になる。モミの木の森、父が拾ってくる宝物(ゴミ)巨大化する母…幼い少女リウにとって世界は美しい。この歪んだ一家に何が起きているのか。終盤“まとも”な青年ロアルの目から描かれた家は、一転してこの上なく醜悪な姿で迫ってくる。おぞましい。いたましい。けれど深い愛情に閉じ込められた物語に夢中になった。2017/12/07
遥かなる想い
91
デンマークの一家の物語である。 全編に漂う不穏な雰囲気がいかにも 北欧ミステリーらしく 心地良い。 一体何が起ころうとしているのか? リウの父イェンスの圧倒的な存在感が 不気味で 予想できない緊迫感が ヒシヒシと伝わる。 閉ざされた空間で 起こる日常は 強烈で怖い…よくわからないまま 終末へと 邁進した…そんな印象の作品だった。2023/06/17
のぶ
74
とても風変わりな家庭を描いた家族小説という感じがするが、この本、感想よりストーリーを説明するのが難しい。父は偏屈物で主人公、リウは父が収集してきた物でごみ屋敷と化した家で暮らしていて、外の世界をほとんど知らずに生活している。物語は基本、三人称で語られるが、リウの一人称の語りと、母親のリウに宛てた手紙が挿入される構成なので、感情移入がしづらい小説だった。デンマークでは賞を獲って、それなりに評価されているのだろうが、自分には消化不良の一冊だった。2017/11/21
sin
70
意外にも子供の描写に暖かみを感じて、この世界観を違う設定にすれば寓話に昇華されるのではないだろうか?しかしこの物語は社会から切り離された一家が陥ったダークゾーンを描写して、ミステリと云うよりホラー?いやサイコサスペンスにカテゴライズされる内容と云うべきだろう。ゴミ屋敷からの脱出劇は緊迫感をもたらすが最近の傾向としてありきたりか?でもそれゆえ映像化にむいているような2017/12/31