Ｈａｙａｋａｗａ ｐｏｃｋｅｔ ｍｙｓｔｅｒｙ ｂｏｏｋｓ 逃亡のガルヴェストン

ピゾラット，ニック【著】〈Ｐｉｚｚｏｌａｔｔｏ，Ｎｉｃ〉/東野 さやか【訳】

早川書房（2011/05発売）

• サイズ 新書判／ページ数 273p／高さ 19cm
• 商品コード 9784150018474
• NDC分類 933
• Cコード C0297

出版社内容情報

ボスに命を狙われたギャングのロイは、娼婦を連れ故郷のガルヴェストンへ逃げるのだが……。ＭＷＡ賞ノミネート中の傑作ミステリ。

内容説明

ついにおれの運も尽きたか―。ロイはこれまで闇の仕事で生きてきた。しかし癌の宣告直後、ボスの裏切りにあい、追われる身となってしまう。成り行きで道連れとなったのは、ロッキーという家出娘。金に困って娼婦をしていたらしい。こうして、孤独を愛する中年の男と、心に深い傷を負った女の奇妙な旅が始まった。ロイは、ロッキーがまともな道を進むことに残りの人生を賭けようとする。だが、果てなき逃避行の先には…。ダークな情熱と、静かなる感動をたたえた、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞候補作。

著者等紹介

ピゾラット，ニック［ピゾラット，ニック］［Ｐｉｚｚｏｌａｔｔｏ，Ｎｉｃ］
アメリカ・ニューオーリンズ生まれ。短篇を中心に執筆活動を始め、２００４年には全米雑誌賞、２００６年にはフランク・オコナー短篇小説賞の候補になる。初長篇『逃亡のガルヴェストン』は、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞、バーンズ＆ノーブル優秀新人賞の候補に挙がっている。現在はロサンジェルス在住

東野さやか［ヒガシノサヤカ］
上智大学外国語学部英語学科卒、英米文学翻訳家（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[goro＠the_booby]

「地獄は本当にあると思う、ロイ？」「いや。少なくとも地球以外の場所にはないさ」ーガンだと言われた日にボスに嵌められた現場で命からがら逃げ出せはしたが、ついてきたのは家出娘のロッキー。行き場のない二人。もしかしたらこの娘を救ってやれるんじゃないかと迷うロイ。過去は夢物語、今から新しい人生が始まると思われたんだが…。長編デビュー作だって？いいじゃね～かよ！小さな希望がね。

2016/04/20

[ふみふみ]

癌を宣告され、ボスに嵌められの主人公（殺し屋）と成り行きで道連れとなった娼婦の逃避行を描くノワール小説。この分野には珍しい時系列ずらしの構成も効果的で読ませます。物語自体は陰鬱で最悪の結果を迎えるわけですが、本書のクライマックスはその後から。救いとなるエンディングはカタルシス効果増長し、読後感は「終わりよければ全てよし」です。

2025/08/15

[eirianda]

ドラマ『True Ditective 』のシーズン1に惚れ込み、その脚本家の書いた小説、ということで読んだ。ドラマチックなノワールでした。海外ドラマのような小説。ラストが…泣きそう。でも、『True Ditective』シーズン1の方がいいな。アレはカルト集団の猟奇殺人ものだったし。本作はどちらかと言えば、コケたシーズン2を思い出した。

2016/09/24

[ブラックジャケット]

おれの一人称で語られるクライム・ノベル。発端は１９８７年のニューオリンズ、ボスの依頼でとある人物の脅しが目的だったが、想定外の武装した三人組に襲われた。隠し持っていた拳銃で逆襲、囚われていた娼婦のロッキーを救い、逃避行へ。これが「逃亡のガルヴェストン」となる。着替えを取ってくるとロッキーは自宅に寄る。そして一発の銃声。三歳半の妹ティファニーと二人。中年のヤクザと若い姉妹の奇妙な逃亡が始まる。２００８年の老いた視点と８７年の両側から、三人の運命の変転が語られ、謎が明かされる。ノワール小説として渋く輝く。

2019/11/22

[マムみかん(＊ほぼ一言感想＊)]

闇の仕事を請け負ってきた中年男ロイは、肺ガンを宣告された日にボスの裏切りにあい、 待ち伏せていた敵を返り討ちにして逃亡。 現場に居合わせた18歳の娼婦ロッキー、彼女の幼い妹と共に、美しい思い出があるメキシコ湾に浮かぶ島ガルヴェストンに向かう…。 タイトルやシチュエーションから想像するような、ロマンチックな話ではありません！ それぞれが抱える悲惨な過去、孤独な魂、避けようのない厳しい現実。 それでも、未来の無いロイが未来あるロッキーたちに託そうとしたものに心打たれます（泣）☆

2011/11/24