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内容説明
新たな任地・蘭坊へ赴任するディー判事。到着寸前に追いはぎの襲撃を受けたのは、多難な前途を予告していたのか。はたせるかな、蘭坊の政庁は腐敗し、地元豪族が町を支配していた。さっそく治安回復に乗りだす判事だが、事件はそれだけではない。引退した老将軍が密室で変死、とりたてた巡査長の娘は失踪するなど、次々に難事件が襲いくる。なかでも元長官が遺した一幅の画と、別荘に作られた迷路に秘められた謎は、判事の頭脳を大いに悩ませる!東洋文化に精通した著者の初長篇ミステリ。清張、乱歩の序文、解説を付し、最新訳で贈る決定版。
著者等紹介
ヒューリック,ロバート・ファン[ヒューリック,ロバートファン][Gulik,Robert van]
1910年オランダ生まれ。外交官、東洋文化研究者。1951年に本書を日本で刊行して作家デビューし、14冊の長篇と2冊の中短篇集を発表。ミステリ作家としても偉大な足跡を残した。1967年死去
和爾桃子[ワニモモコ]
慶應義塾大学文学部中退、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kouro-hou
22
中国唐代の実在の政治家狄仁傑。その活躍を他人の活躍も取り込んで読み物にした中国の大岡政談が「狄公案」。それを在日オランダ大使のヒューリックさんが英訳して欧州で大人気、もっと訳してと言われたがよさげな作品が無い。ピーン!自分で書けばいいんじゃね!という訳で、中国古来の事件を軸に架空の都市に赴任した狄判事と4人の部下の活躍を書いたのが狄判事シリーズであり、この「中国迷宮殺人事件」がシリーズ第1作になる。密室殺人や蛮族の襲来等、機知と度胸で危ない橋を渡り、苦悩しつつも正義を行う狄判事の姿は胸に来るものがある。2015/12/14
紅はこべ
16
ディー判事四番目の任地は、知事を無視した地元豪族が恐怖と武力で支配する土地柄。そんな環境で新任のディー判事は山積する民事事件も刑事事件も捌かなくてはいけないから大変です。故人の遺した山水画からメッセージを読み解くシーンがややわかりづらかった。物語のハイライトなのに。ラストの方の下手人の処刑シーンがリアルでショッキング。ディー判事は40代。中年の危機か、珍しく自分の生き方に疑問を持ち、新しい生き方を模索したりする。ディー判事流自分探し。判事も人の子だった。2009/04/27
spica015
13
狄判事が新たに赴任した蘭坊の街は問題がいっぱい。それを個性豊かな部下たちと共に、時に知恵を巡らし、時に腕っぷしで押さえつけて解決していく様子は本当に痛快。事件の謎についてはそれほど複雑でもなく、中国の小説からネタを取っているが、それが上手く調理されている。事件が同時多発する様子はフロスト警部っぽくもあり、それを活劇風に描くのは水戸黄門のような時代劇を彷彿とさせる。いくつか読んだシリーズ作品のうち、この第1作めがエンタメ度が高く面白かった。最後に見せる狄判事の人間臭さがまた堪らない。2017/10/04
tom
11
狄判事の探偵物語。時間系列で並べると10幾つか目の物語。判事の知力勝負の謎解き物語でもあります。サラサラと読めて、それなりに堪能という次第。ところで、順番に読み進めていて、今に至って気づいたのだけど、この著者の書くもの、死刑場面や、ときどき現れるサド的場面が妙にリアル。著者は、謹厳実直な外交官ということだけど、ひょっとしたら、あちら方面にそれなりの興味関心があり、内面に持つ秘めた思いが小説に昇華したのかしらと思ったわけです。2018/12/12
しゅー
7
★★『米澤屋書店』のお薦め。乱歩▪清張の序文付きと、何やら時代がかっている。「欧米人の眼から見た中国」を舞台にした活劇風味のミステリーといったところか。欧米人の眼といっても外交官としての滞在経験があり、中国の方と結婚した作者のことなので、日本の我々が読む分には違和感ない。むしろ「蛮族」の扱いとかは、漢民族寄りな視点である。西遊記や水滸伝の語り口で鬼平や水戸黄門を読んでる感じかな。複数の事件が並行して起き、密室や広い意味での暗号など盛りだくさんだ。密室トリック(?)のもとネタは『金瓶梅』だと聞いてびっくり。2022/01/10
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