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内容説明
妹を誘惑され激怒した金匠が相手の男を殺し、司直の手が及ばぬ教会へと逃げこんだ。だが罪の意識に苛まれた男は、耐えきれずに首を吊って、密室状態の教会内で自殺した…単純に見えた事件だったが、その裏にキナ臭さを感じ取った国王の命を受け、再検分が行なわれることになった。密偵役を拝命したのは、切れ者で知られる書記のコーベット。たちまちにして他殺と見抜いたコーベットだが、その背後にさらなる秘密が、そして国家的大陰謀が潜んでいようとは、想像もしていなかった!中世ロンドンを舞台に、英国歴史ミステリの雄が放つ傑作登場。
著者等紹介
ドハティ,ポール[ドハティ,ポール][Doherty,Paul]
イングランド北東部生まれ。リバプールとオックスフォード大学で歴史を学び、歴史教師となる。本書でスタートしたヒュー・コーベット・シリーズなど、多くのミステリを発表している
和爾桃子[ワニモモコ]
慶應義塾大学文学部中退、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蜻蛉切
20
諸般の事情(読み手の勘違い)で、読了となっていたが、このほどメデタク?初読。 国王の密偵コーベットシリーズの最初にして、おそらく最後の翻訳。 日本では、鎌倉時代辺りのイングランド。 現国王派と反国王諸侯連合の残党の暗闘が繰り広げられている時代を背景とした物語。 教会の密室で「自殺」した金匠の死の謎の調査を命じられた主人公であるが、調査を進めるうちに、反国王派の陰謀に巻き込まれ・・・。 密室の謎解きは、やや肩透かしな感は否めぬが、著者得意の時代風俗描写は、今作も健在で、(つづく)2020/10/27
鐵太郎
19
舞台は1285年頃のイングランド。日本だと元寇をようやく撃退した鎌倉時代。王に反乱を起こした(しかし庶民と英国史のヒーローである)シモン・ド・モンフォールの死後、不穏な情勢の中で王の密偵として抜擢されたのがヒュー・コーベット。彼が王国に巣くう陰謀と対決するシリーズの第一巻──そして日本では最終巻。orz 作者の処女作だそうで、お話的には破綻あり無理な展開ありとってつけたような怪しいロマンスあり、必ずしも良作とは言えないのですが、作家がきっちりと勉強した時代の描写や展開の勢い、そして目新しさは評価したい。2023/03/27
紅はこべ
15
13世紀英国の風俗が興味深い。メインの密室トリックはさほど珍しくない。主人公の恋の苦悩の様が印象に残る。この訳者は好き。ヒューリックの訳者でもあるし。2009/06/30
みさ
7
ドハティの出世作とのことだが、人物描写が結構粗目だなあというのが正直な感想。シャードレイクのようながっつり内面や人間関係まで描く作風が好みなせいか、主人公の心情の移り変わりの速さや相棒とのやり取りの展開になかなかついていけなかった。時代背景や事件設定は面白いし、史実にかなり即した話作りは興味深い。訳者あとがきがとても親切。2023/01/19
こまい
4
密室のトリック(なのか?)はおいといて、時代設定がおもしろーい。13世紀ロンドンにおける人々の暮らしや政治的背景は本当に興味深い。もーなんつうか、匂ってきそうな勢いで。おもに悪臭ですが……鼻がムズムズしました。2013/03/31