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内容説明
1935年、英国ダートムア。吹雪のため、人々はロジャー・フォークス大佐の邸に閉じ込められた。大佐、その妻と娘、ゴシップ記者、アメリカ人の青年、女流作家、牧師とその妻、女優、医師とその妻。やがてゴシップ記者が全員の秘密を握っていることを示唆し、彼への憎しみが募るなか、悲劇が起こる。密室状況で記者が殺害されたのだ。被害者のポケットには不可解なアルファベットが記された紙片が。やがてセイウチ髭のトラブショウ元警部が駆けつけ、大佐が重大な告白を始める。「私の本当の名はロジャー」…ミステリの枠を打ち破る超ミステリ、黄金期の本格ミステリへのオマージュ。
著者等紹介
アデア,ギルバート[アデア,ギルバート][Adair,Gilbert]
1944年生まれ。イギリスの作家・批評家。『作者の死』(1992)や『閉じた本』(1999)などの文学作品を発表。2006年にはアガサ・クリスティーへのオマージュともいうべき『ロジャー・マーガトロイドのしわざ』を発表し、話題となった
松本依子[マツモトヨリコ]
英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
48
再読。「読んだふりをするだけじゃなく、ほんとうに読んでくれていたらね、ロジャー・フォークス、あたしが密室ものを手がけたことはないのを知っているはずよ。あれは、ジョン・ディクスン・カーに任せてるの」吹雪の山荘で憎しみを煽るゴシップ記者、密室に死す・・・。クリスティーの愛あるオマージュと言うよりパロディに満ちた作品・・・一部バカミス(笑)。古い訳でもテンポや会話が楽しめるやつって、あまりないと思うし、イーヴィとトラブショウ元警部の作品がこれしか英訳されてないのを日本のミステリ好きは嘆くべきだと思う。2021/02/19
星落秋風五丈原
27
皆の嫌われ者が殺されちゃうというよくあるアレ。そして雪のクリスマスの密室殺人!定番ですな。いろんな所にクリスティやディクスン・カーへのおちょくりが出てきます。2021/12/26
本木英朗
20
英国の作家・批評家のひとりである、ギルバート・アデアの作品のひとつである。俺は2014年10月に一度読んでいて、今回で2回目である。1935年、英国ダートムア。吹雪のため、人々はロジャー・フォークス大佐の邸に閉じ込められた。大佐、その妻と娘、ゴシップ記者、アメリカ人の青年、女流作家、牧師とその妻、女優、医師とその妻。やがてゴシップ記者が全員の秘密を握っていることを示唆し、彼への憎しみが募る中、悲劇が起こる――という話である。2回目であるがぜんぜん分からなかった。さすがは作者である。(→)2023/09/08
紅はこべ
19
タイトルからして読者を食っている。巻頭の屋敷の見取図も冗談にしか見えない。クリスティのパロディ?作中の女性作家のモデルはオリヴァ夫人? 彼女が語る自作の筋はどれも面白そうで、実際にアデアに作品化してもらいたいくらい。本作は読了後、もう一度犯人の立場から読み直してみたくなる。優れたミステリは再読に耐えるのだ。トバモリーってペットの名前として英語圏ではありふれているのか?真っ先に思いつくのはサキの猫だけれど。2008/09/29
きゅー
16
『作者の死』、『閉じられた本』など奇抜なアイデアで楽しませてくれるギルバート・アデアがミステリを書いていたという。よほど斬新で、メタな推理小説かと思って読み始めたが、意外にも基本に忠実でスタンダードな物語。結末のカタルシスはなかなかのものだった。なにしろ犯人の語り口が素晴らしい。なぜ全編にわたって登場人物の語りで構成されていたのかも理解されるし、面白いオチどころに感じた。よくよく考えてみると、『作者の死』の作者らしいトリックでもあったし、メタフィクション的なものを求めない読者にとっても楽しく読めるのでは。2016/10/13