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内容説明
指が愛おしそうに鍵盤を撫で、暖かく快い音がピアノからこぼれだす。場末の酒場に立ちこめるタバコの煙と酒の臭いのなかに、メロディが流れてゆく。男が一人、音楽を頼りによろよろとピアノへ向かってきた―長年会うことすらなかった兄が突然姿を見せたとき、しがないピアノ奏者エディの生活は急転した。兄を追って二人の男が現われ、エディはとっさの機転で兄を店外に逃がしてやる。だがそれがきっかけで、彼はギャングとのトラブル、そして自身の過去の傷と向き合うことに…フランソワ・トリュフォー監督が映画化した、ノワールの名作。
著者等紹介
グーディス,デイヴィッド[グーディス,デイヴィッド][Goodis,David]
1917年フィラデルティア生まれ。本国アメリカよりもフランスで高く評価されており、『ピアニストを撃て』や『狼は天使の匂い』(1954)をはじめ、多くの作品がフランスで映画化され、人気を得ている。1967年没
真崎義博[マサキヨシヒロ]
1947年生。明治大学英文科卒。英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ペグ
41
「ピアニストを撃て」この題名はトリュフォーの映画で知っていましたがグーディスは初読です。(街灯もなく、あたりはまっ暗だった。)ここから始まるこの小説の前半はウィリアム アイリッシュの世界観にとても似ていると思いましたが後半はジム トンプソンに似てアイリッシュとは真逆の方向に。抑えても心の奥底からわき起こる抗えない暴力性。その切ない不条理感がフランス人に受け入れられた所以でしょうか?音も無く降り積もる雪を背景にエディは静かにピアノを奏でます。2016/06/29
Panzer Leader
30
場末の酒場のピアノ弾きに長らく音信不通だった兄が訪ねて来たことからトラブルに巻き込まれ始めるという出だし。作者の語り口が二人称や三人称で書いていてちょっと読みずらい上、主人公やヒロインにどうも感情移入が出来なかった。最近読んだ「その雪と血を」があまりにも大傑作だったため、同趣向の本書はちょっと自分には合わなかった。2017/07/07
M H
24
場末の酒場でピアノを弾くエディの元に疎遠だった兄が現れたとき、不穏な動きが。悲しい過去と内なる獣性をやり過ごすため、エディははぐらかすような言動に終始する。途中まではイライラした(笑)。でも、誰でも自分に向き合って全部消化してるわけじゃないから。時々の慰め、平安を得て、やり過ごしながらどうにか生きているのだろう。エディにとってはそれがピアノ。この孤独感、寄る辺なさが解説で言及されるアイリッシュに近いのかも。結構好き。2020/02/03
けいちゃっぷ
16
ピアニストの夢破れ、場末の飲み屋でピアノを弾いて糧を得ている男。 平穏な生活にドップリと浸かっていた毎日だったが、長年音信がなかった兄が突然助けを求めて飲み屋に現れた時から否応なしにトラブルに巻き込まれてしまう・・・。 『狼は天使の匂い』のラストの印象がいまだに残っているせいか、何が起こるかと恐れながらも期待しつつヒリヒリした思いで読んでいたが、途中で「どうも違うな」と思いはじめたらなんだか夢から覚めたような、面白くもない本の中の「現実」に取り残されたような。 198ページ 2015/03/18
Yui.M
14
1956年に発表された作品。ずいぶん昔だけれどハラハラしながら面白く読めたのが不思議だ。心理描写がややしつこく、ワンシーンが長いことが気になったけれど、主人公エディがラストでピアノに触れるところは、じゅうぶん悲哀が伝わってきた。2016/12/29
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