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内容説明
話題のミュージカルをめぐる水面下の争いは、戦慄の殺人事件へ!目と口をあけ、舌が突きでた老人の死体―服を着たままベッドにいたその老人は、キャレラたちには首つり自殺をしたとしか思えなかった。娘のシンシアは父親のアパートを訪ね、ベッドで死んでいるのを発見したと主張したが、不審な点が多すぎた。尋問の末、シンシアは自殺だと保険金の受取額が減るためアパートで首を吊っていた父親を自然死に見せかけようと工作したと自供する。だが検視の結果、老人は殺されていたという証拠が挙がった。さらに、話題のミュージカルの再上演権をめぐる争いの渦中にいた事実も判明し、捜査は困難を極める…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tom
23
きっかけが何だったのか記憶は飛んでいるのだけど、突然マクベインという名前が浮かんできて、読んでみることにした。たまたま手に取ったのだけど、出版時期は不明、翻訳が出たのは2000年。これだけでもずいぶん古い話。そして、シリーズ50作目だとか。そして読んでみると、少しも古ぼけていない。王道の警察小説という感じ。刑事たちがコツコツと事実を積み上げていき、その中でお宝のような証拠を探し当てる。それまでに歩いた距離と事情聴取をした人の数・・。児童虐待やら性的虐待やらのうんざりするような描写もない。楽しんで読了。2023/05/08
bapaksejahtera
8
87分署シリーズ50作目。そろそろお終いかと思ったがあと6作品ある。それにしても本作から半世紀前の初期作品と比べると調子は随分違う。流れるように手慣れた感じ。相変わらずアイソラの町を腐す程には、小説の雰囲気に尖ったところはない。冒頭縊死したと見られる老人の遺体がベッドに移され、通報した実の娘が傍らで自然死を主張する。ここから物語が始まり、1920年代の古い戯曲の権利問題や麻薬禍が絡んでくる。後半話が英国に飛び不必要に手が込むと感じられるが、老大家によって書かれた作品として、読み手の老人は安心して読了した。2020/10/23
アーチャー
7
87分署シリーズ第50作目(短編も含めて)前作でキャレラの年齢が確定されたことで、遂にシリーズも終焉を迎える準備を始めたように思ったが、本作でもミスコロの淹れるまずいコーヒーとか、情報屋ダニーが久々に登場して、ますますその様相が強くなった気がする。その影響で本作はシリーズ初期のような空気もあり、マクベインの筆力に衰えを感じさせない仕上がりはファンとしてうれしい。2013/04/24
八百蔵
3
「何でもかんでも同じであることが良いと信じるどこかの国の理想的民主主義思想ではない。…白人でも黒人でも、肌の色を気にかけないという者がいれば、そいつは嘘をついている。」この作品は読んでいなかった。いつもだが、人種差別の現実の話なのか犯罪と警察の話なのか。2020/09/26
mayumi
3
87分署、シリーズ50作目!いや~。すごいです。マクベイン。それにしても、どうして早川書房はこのシリーズを文庫化しなくなっちゃったの?文庫化をずーっと待ってたのに、その気配が全くしないから、ハヤカワ・ミステリを買ったけど。今作はいくつもの殺人事件が複雑に絡み合っていて、ちょっとややこしかったかな。キャレラをはじめ、署の面々は奮闘。ところで、黒澤映画「天国と地獄」を「安っぽいミステリを書いているアメリカ人作家の作品からとったもの」のくだりには笑ってしまった。自著の「キングの身代金」じゃないの!(笑)2013/03/31