Hayakawa pocket mystery books<br> ステラの遺産

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Hayakawa pocket mystery books
ステラの遺産

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  • サイズ 新書判/ページ数 373p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784150016746
  • NDC分類 933
  • Cコード C0297

内容説明

ジェネヴィーヴは、老人ホーム「ミドルトン・ホール」のケア・アシスタント。彼女の受けもちのひとり、ステラは癌で余命いくばくもない老女である。ある日、ステラ宛てに彼女名義の家の権利書が届く。ステラはその家の存在を子供にまでひた隠しにしていたのだが、その理由を話すため、ジェネヴィーヴだけに自分の過去をうち明けるようになる。結婚に満足できなかったこと、不倫をしていたことなどなど。そしてその話は必ず秘密の家に収斂していく。その家でいったい何があったのか?ジェネヴィーヴは、やがて恐ろしい疑念に捕らわれていく…。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キムチ27

40
筆者ヴァインは英国作家、多作でないけれど、著書の評価に関心を持ち読んだ。何とも言いようがないほどの深い興趣。構成はシンプル・・老人ホームで余命いくばくもない日々を過ごすステラと介護者(友人と説かれているが)ジュネヴィーヴ。語り合いの中で深みに入っていく。ケアアシスタントという仕事がら、日本からすれば想定を超える。標題の遺産となる家が掘り起こされて行く紐の中にジュネヴィーヴが静かに織り込まれて行く。原題「硫黄石婚」に浮かぶ不吉な香りとジュネヴィーヴが歩む不安定な恋の行方に英国の様々な迷信がはめ込まれて行く。2016/03/23

星落秋風五丈原

30
ジュネヴィーヴはテレビ局に勤める妻子あるネッドと恋仲だ。ジェネヴィーヴも両親とも離婚しているので、離婚には抵抗がないが「ネッドの娘が酷い喘息」という事情を聞いているので耐えている。しかし彼との関係が続けば続くほど、単調な夫との生活が嫌になる。ネッドが、もう典型的な嫌な奴。毎回会う度に「“愛している”と言ってくれ」と某ドラマのような台詞を吐くのが暑苦しい。だいたいそれだけ言わせておいて、妻や娘と離婚するとは絶対に言わない。ジュネヴィーヴ、騙されてるよ!と経験豊かな読者などは言いたくなるはずだ2021/02/14

かわちゃん

20
☆☆☆☆ 本好きの友からのオススメで、ルースレンデルの変名バーバラヴァインの本作を初読み。ミステリーではあれど、二人の女性の愛にまつわる物語として、読みごたえのある一冊でした。ガンで死期が近い老女ステラと、介護士のジェネヴィーブの、時代を超えた許されぬ愛の行方。二人の会話を中心に展開する中で、普遍的な愛情が丁寧に描かれてました。イギリスの牧歌的な田園風景と、狭い人間関係、そして迷信にまつわるあれこれも、切なく終わりに近づく物語の演出になっていました。ただ翻訳ものなので、やはり読み進みが遅いのが難でした。2015/11/23

こぶた

5
★★★★★ 一介の老婦人の人生を、こんなに濃密に描くなんてすごい。最初から最後まで目が離せず、ものすごい読み応えと余韻。ステラとアランが踊りだしてしまうくらいに夢見た人生が、その直後にあっという間に崩れてしまうのがたまらなくやるせなかった。物語の背後に、階級意識、女性の地位、地方の閉鎖性、イギリスの自然なども感じられ、それらも興味深かった。イギリス人が読んだらもっと時代や土地を感じられるのかと思う。2014/01/22

椿子

5
うーむ。やっぱりバーバラ・ヴァイン好きだ。ミステリでも謎解きよりも人間を描くのに重点を置いている物語、という感じ。これまた村の閉塞感が描かれててgood。読み終えたあとは、いやーな気持ち悪さというか暗い気持ち襲われましたけれども、面白かったです。相変わらず緻密なストーリー。2011/03/17

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