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内容説明
1892年8月11日、マサチューセッツ州フォール・リヴァーの名士の娘、リジー・ボーデンは父と継母を斧で斬殺した容疑で退捕された。しかし、彼女は裁判で無実を申し立て、結局その主張が陪審から認められて釈放された。事件が迷宮入りしてからほぼ30年後、家族と一緒に海辺の村に避暑にきていた少女アマンダは、自分の隣の家で暮らすのがあの悪名高いリジー・ボーデンであると知って、思わず胸をときめかした。あの人は本当にむごたらしいやり方で両親を殺したのだろうか?だが、村で偶然に出会ったリジー・ボーデンは、厳格ななかにも優しさを感じさせる年配の女性で、アマンダはすぐに好きになってしまった。そんなある日、昼寝からさめたアマンダは、大嫌いな継母が斧でめった切りにされているのを発見した。13歳の少女が体験したひと夏の恐怖を、禁酒法の時代を背景にきめ細かな心理描写で描く戦慄のサスペンス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GaGa
7
1892年、アメリカで父と継母を斧で惨殺して逮捕されたリジー・ボ-デン。結局は無実として釈放される。リジー・ボーデン斧を取り、母親を四十ぺんめった斬り。などと唄われる実在の人物が主人公の異色ミステリー。少女アマンダとの交流を通じ、再び斧によって起こった惨殺事件の謎を解き明かす。中々楽しめる佳作。2010/06/29
madhatter
4
再読。物語自体は勿論、時代の描写も面白い作品。だがやはり、ミス・ボーデンの人物造形が秀逸。怪物ではなく、過去の事件を血肉にした、堅固な性格が心に残る。さて、リジー・ボーデン事件について、私が真っ先に思うのは残虐さよりも、無罪は有罪より難しいと言うことだ。本書でもサスペンスフルな展開の裏で、このテーマ(アマンダ自身に関わるものも、ミス・ボーデンのものも)が常に存在している。ミス・ボーデンは、かつてそれを学んだが故に、アマンダをそれから守ろうとしたのだろう。だが、彼女のためにも犯人は死なせないで欲しかった。2011/02/14
セロハン
0
リジーの置かれている環境・その状況下での行動に、心がかなり持って行かれましたし 主人公の周りに、色々な種類の素敵な大人達が多く、ほっこりします 最後の一文も、個人的にかなり好きです2021/09/13