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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
抹茶モナカ
9
ハードボイルド小説。探偵のトラヴィス・マッギーもの。作中で展開される主要モチーフのDVが、明言されていないけれど共依存が原因の様子で、問題のあるような女性が登場して来る。主人公もその共依存の状況に入り込んでしまう筆致もあったけれど、ちゃんと抜け出すので凄い。ちょっと、人間描写で落ち込むところも読んでいて、あったかな。ドキッとしたりする。2015/08/26
lanikai
6
有栖川有栖さんの本で紹介させていたのを見て読んでみました。内容も本そのものも古いけど、船で暮らす、探偵というより自由業みたいな主人公は現代ではいなそうだから、ちょっと新鮮。映画化もされてるよう。2018/09/20
ヨコケイ
2
トラヴィス・マッギーの1。ヨットを根城にする風来坊の一人称。女友達が仕事仲間(シングルマザーで妹と母親も養う)の窮状を訴える。刑務所で死んだ父親が収監前に大金を作って隠したが、父親の刑務所仲間が一家に取り入って横取りしてしまう。女性を暴力で支配し破滅させる悪党を探し出して金を取り戻せるか。現代版ロビン・フッドとの評があるが個人的にはザ・アメリカンな印象。有能だが保守的でロマンチストな面もある独立不羈のモテマッチョ、それでいてモノローグは知的っぽい。ドリームやけど語り口が素晴らしい。多分リーチャーの原型。2022/11/27
kanamori
2
☆☆☆ シリーズ第1作2017/07/20
急性人間病
1
艀型ヨット≒浮き草に乗って仮初の定住と遊牧を生きる家財救助屋トラビスの主観を通した市井の爛れ具合、都市のシステム化具合があの手この手の隠喩に飾り立てられる一方、感傷に思い切り片足を突っ込む筈のところで簡潔な短文を決めてくるので信頼できない訳がない。最終的な敵役との件が対決というよりほぼほぼパニック映画じみている鬼気は流石「恐怖の岬」の原作者。女性たちはもとより、悪党たちも、トラビスでさえも『愛の贈り物』と『粘液の壜』の合間に立たされて悶えている非超然性。2019/11/17