出版社内容情報
柳宗悦の「ことば」を丁寧にひもときながら、その思想の真髄に迫る、通年講座の下巻。
柳宗悦が有していた高邁な宗教哲学を密接に絡めながら、柳の見出した「民藝」について、その「ことば」を熟読玩味しながら、若松英輔氏が丁寧にひもとくガイドブック。下巻では民藝の新生原点とでもいうべき「琉球(沖縄)」への言及、「手仕事」の発見、「大無量寿経」から始まり、柳の著書『南無阿弥陀仏』に至る日本仏教との邂逅、柳が多数遺した「心偈」、そして最後には晩年の柳が掲げた「仏教美学」について講じていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tetekoguma
1
宗悦の美学は、絶対的な価値と相対的な価値の違いや、またそのもととなる、人はすべて等しいという思想を鮮やかに描いています。私は昨年柳宗悦の思想に出会い、それは私に深い影響を与えました。(それで、昨年度後半はめちゃ忙しくなってしまいました・・・)。人との比較に陥り、人生の意味を見失いかけるという経験は多くの人が持つと思いますが、柳の思想はそうした人々を救う可能性があります。2025/04/20
くれは
0
日本民藝館で開催されている仏教美学展の予習のために読んだ。どうも鎌倉浄土教を要約しているだけで目新しい主張はないし、それを民藝の権威化・ブランド化の道具にしてる向きもあって、あまりよい印象を覚えなかった。「作為と無作為、造作と無造作の協働が結実してできたモノは美しい」、ただそれだけのことをムリに浄土の教えのことばで言い換えようとしているように見えてどうにも居心地が悪い。2025/02/28