出版社内容情報
決定版「唯識」入門講座! いよいよ心の最深層、第七末那識、第八阿頼耶識の世界へ!
決定版的な唯識入門講座として好評のNHK宗教の時間『唯識 心の深層をさぐる』の下巻は、いよいよ唯識の本質である、心の最深層である第七末那識を経て、第八阿頼耶識の世界へ誘う。
複雑で難解な唯識哲学を、諸仏典や諸文芸などでイメージを喚起しつつ、難しいことは繰り返し学ぶというスタイルで、読者と聴取者を着実に、その本質へと近づける。
*下巻の各回タイトル(仮)
第7回 第七末那識をめぐって
第8回 第八阿頼耶識 わが心深き底あり
第9回 第八阿頼耶識をめぐって①
第10回 第八阿頼耶識をめぐって②
第11回 五姓各別 唯識の成仏論
第12回 人人唯識
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shimashimaon
6
下巻は第七末那識と第八阿頼耶識の講義です。いずれも心の深層にあり、第七末那識は自己愛の根源、第八阿頼耶識は一切種子識と言われます。サンスクリット語のアーラヤは「蔵」を意味しており、遥か過去の経験を所蔵して、生存基盤となっている。私たちは世界をありのままに見ているのではなく、心の作用によって見せられているのであって、その最初の作用(初能変)を阿頼耶識が司っている。こうした心の作用を識り覚の智慧の獲得を目指す(転識得智)ことを説くのが唯識仏教です。「人人唯識」は、横山紘一氏の言葉では「一人一宇宙」ですね。2023/03/12
Ise Tsuyoshi
1
心は単に心なのではなく「能変の心」、認識対象の境も単に境でなく「所変の境」。私たちは日常、真正なスガタでなく「似て非なる」世界、あるいはなにがしか歪なスガタを見ている。カントを想起させる認識論。唯識における覚は、我執による煩悩障と、物事への執着による所知障が完璧に取り除かれた境地。「愚なるを以って、還って知んぬ、大乗の姓あることを。猶、趣寂にあらず。況んや無姓為らんや」(解脱上人貞慶)。「他ならぬこの〈私〉はどうなのか」という自己凝視が大切。2023/04/30
中桐 伴行
0
やっぱり難しい…作者が良かれと思って挿入している道歌や俳句が余計意味を多重的にしてしまって、しかも説明文の中に説明が必要な語句が入ってきてて、分からないにわからないを積み重ねた気分だ。仏教哲学はしばしば「わかる」という感覚になったらまちがえていると言われるが、なんか色々はぐらかされた感覚になってしまい、ちょっと休憩が必要だ…この本は上下とも読んだというか、とりあえず最後まで字を追った感じになった。2024/02/18