出版社内容情報
苦しみの中、励ましてくれる言葉に出会う。
危機の時代に一躍脚光を浴びている「コヘレトの言葉」。旧約聖書のなかの小さな文書には、生きづらさを感じなから、それでも生きていかざるを得ない私たちの背中をそっと押してくれるメッセージが込められている。「束の間を生きる」「時を待つ」「連帯を感じる」などのキーワードをもとに、世界でもなく、社会でもなく、「自分」が進むべき道をゆっくり考える。「コヘレトの言葉」の第一人者と、批評家・若松英輔がコロナ禍でおこなった、「こころ」をめぐる対話の全貌。大きな反響をよんだ「NHKこころの時代 それでも生きる 「旧約聖書 コヘレトの言葉」」の番組対談を出版化。2021年10~3月に再放送(Eテレ)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
76
以前eテレでこのお二人(若松英輔、小友聡)の6回の対談を見て印象に残りました。そして以前に持っていた聖書では「コヘレトの言葉」ではなかったので2018年版の聖書を買いなおしたことを思い出しました。旧約聖書の中では短い部分ですが、このお二人の対談で内容がよく理解できました。この本を読んですんなり頭に入ってくる気がしました。仏教の禅のような感じもするのですが、さすがにご専門のお二人の境地には到達できませんでした。やはり聖書をよく読み込まれているという気がしました。私も枕元に聖書を置いて読みましょうかね。2023/04/20
ネギっ子gen
44
「NHKこころの時代 それでも生きる『旧約聖書 コヘレトの言葉』」の番組対談に加筆のうえ、書籍化。番組名やテキスト名とは違うタイトル名「すべてには時がある」に変えて、違いを強調。いや差別化か。「コヘレトの言葉」の第一人者と、批評家・若松英輔の対談。前者がプロテスタントで、後者がカトリック。実は、年輩者のわたしには、「コヘレトの言葉」という言い方より、「伝道の書」が馴染み深い。そして、「一切は空である」という表現から、この書にニヒリズムを感じて、そこが好きだったのだが、そうした読みは浅かったようで……。⇒2022/05/05
ロマンチッカーnao
15
旧約聖書の『コヘレトの言葉』僕には『伝道の書』が馴染み深いけど、この一編は深く、解説書を読まないと理解できないほど深い。その分味わい深く何度も読むもの。ゴールデンウィークは聖書の伝道の書とこの2冊を書き写しながら哲学してみたいと思う。その行為がすでに祈りになるのかな。なればなと思っています。2024/04/14
joyjoy
7
逆転の発想。「にもかかわらず」や「だからこそ」に惹かれる。なかなか思うように会えない、集えない。そんな今だからこそ「共に」の意味を深く考えさせられる。また、「労苦」、ヘブライ語で「アーマール」という語にも、「働くことの苦しみ」と「働くことの喜び」の意があるように、相反するもののようでも、捉え方、受け取り方次第で、すべては恵みとなりうるのでは、と希望を得る。労苦を楽しむべし。2022/08/01
ジョンノレン
5
Eテレのこころの時代で「コヘレトの言葉」をテーマに若松英輔氏と小友聡氏が対談した番組の書き起こし。暫く前に番組を視聴していたが、なかなかの内容であったので、改めて読んだ。ヨブの過酷な試練とその後の神とのやりとり、同様に不条理な状況に置かれた「夜と霧」のヴィクトール・フランクルの心の到達点に加え、存在と死に真っ向から取り組んだ池田晶子の話題にまで展開する豊かな内容。 対談両氏ともキリスト者のため、凡夫の私には多少の翻訳というか読み替えを要した。この番組がキッカケになり池田女史の本を多数読めたのは幸いだった。2022/03/18