出版社内容情報
誰もが経験する「会話の行き違い」。なぜそうなるのか? 日本でいちばん言葉を偏愛し、観察を続ける辞書編纂者が、豊富な実例をもとに原因と対処法を考える。歴史や語源など、言葉の根っこを学びながら「言葉との付き合い方」を身に付ける、知的で実践的な日本語入門!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
116
これはよかった。三省堂国語辞典の編纂者である著者が、日本語という言葉について語った一冊。終始一貫して述べられている主張は、「言葉には正しいも間違いもない」ということ。言葉というのは単なる意思疎通のツールであり、時代とともに意味が変わるものだから、「この言葉が正しい」「事言葉の使い方は間違っている」というのはさほど大事なことではない、ということを辞書を作る人が言うと説得力がある。むしろ言葉の意味は使う人、世代、環境によって変わる生き物であるということ。おもしろい。2021/12/14
アキ
67
ことばの失敗は誰しも経験があり、誰もが避けたい。つまずく理由は、ことばの持つ時と場合に応じて変化する性質にある。日本語には大和言葉、漢語、外来語の3層あり、変化するのは常に大和言葉である。ことばをうまく伝え、かつ受け止めるには、ことばはもともと伝わらないものだという前提に立って、つまずかない方法を取ることにある。具体的には、話すときは大事なことを二度言う、聞くときは大事な点を相づちの形でなぞる、書くときは多義的な言葉を避けることなど提言する。なにより言葉に寛容になろう。つまずかないように心がけたいものです2020/07/04
き
61
「ことばは伝わらないこともある、ではなく、もともと伝わらないものです。」という文が印象的。「ことば」の捉え方について考えることのできる本。ことばは年月とともに変化したり、人によって使い方に差異があったりする。私たち一人一人の頭の中にある辞書は、それぞれ違う。ことばによるつまずきを防ぐ有効な方法として、「人と話す機会を積極的に増やす」「いろいろな種類の本を読む」が挙げられる。ことばへの感度をさらに高めていきたいと思った。2021/08/19
ぽてちゅう
43
日本語ネイティブ同士なのに話が通じないんです。こんなお悩みを日々言葉と格闘する辞書編纂者が解決!通じないのはつまずき(誤解を生み)やすいから。言葉は時間経過や場所、場合で意味が変わる。ファイナルアンサーの辞書は、実は多数派寄りで言葉の変化に追いついていない。さらに脳内辞書は一人一人微妙に違い…。つまり、つまずき上等なのです。それを避けるには絶賛実践中のアレ、自分とは違う言葉を使う多くの書き手と触れ合うことのできる場…そう!読書で場数を踏むことが大事。つまずきの存在を認め、言葉に対して寛容になりたいですね。2025/04/09
いちろく
35
「誤用」ではなく「つまずきやすい」日本語について触れたエッセイ。例えば、同じコトバでも、複数の意味があったり、時と共に意味が変わったり、方言の様に地域独特の意味があったりする事を解説してくれている。コトバのプロである辞書の編纂者が、正誤を明確にする事だけでなく変化を受け入れている事も興味深かった。「伝わるかどうか」を重視すると述べていた項目が特に印象に残った。2019/04/28
-
- 電子書籍
- 世界の艦船 2023年 01月号