感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
獺祭魚の食客@鯨鯢
41
日本人にとって聖書とは膨大な説話集合体であり、馴染みにくい。さらに旧約と新約の違いやカトリック、ギリシア正教、プロテスタント、イスラム教との関係。イエス持つ意味などまさにカオス状態。体系的で腑に落ちる理解は半分諦めていた。 これまでは宗教者によるドグマチックな解説書ばかりで 半分はぐらかされているようだった。日本人が神道を体感的に感受できる俯瞰的理解が可能なものを待ち望んでいた。 ヨーロッパ諸国の身内争いを見るにつけ、これにより西洋思想の源泉としてのヘブライズムを理解していきたい。2023/06/01
ころこ
36
解釈学的な手法なので、初めて聖書を読むひとではなく、ある程度、読んだことのあるひと向けの本。偶然にも読むためのレベルが合致していたが、全くの初見という暗黙の前提がある『100分de名著』の名を冠するにはミスマッチであろう。副タイトルに対する答えは「苦しい状況が続く中では、集団の一致団結は不可欠なので、神との関連においても、一つの神だけを神とする。」「民は神の前で「罪」の状態にある、だから神が動かなくても、それには神に問題があるからではなく、民の側にそもそも問題があるからだ」ということになる。2022/10/06
まえぞう
28
いま、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教を中心とした宗教の歴史を読んでいるのですが、なかなか難しいので、ユダヤ教の成り立ちが概観できる本書を再読しました。それにしてもやはり、自分達が罪の状態にあるから神様が救いの手をさしのべてくれないんだ、と考えるとは、相当に過酷な環境で育った宗教だと思います。2025/04/02
スズコ(梵我一如、一なる生命)
21
まず旧約聖書の入門書の一歩先を行くレベルの本で、門外漢には全体像、骨格がわかりませんでした。また、別の方のレビューにもありましたが、著者の立場が定まっていないためか、伝えたいことがわかりません。神学論争の性質なのかもしれませんが、もっと整理なりして欲しかったです。する、しないで神様の意思をはかれないといいつつ、神はこうしてないのでこういうことではない、と言う論法が矛盾しているようで気持ちが悪かったです。ただ、神様の前である種諦めモードのユダヤ教は日本人の自然観に少し近いアプローチだなと思いました。2017/10/11
まえぞう
21
塩野七生さんがどこかで、「多神教の神様は信者のお願いをかなえてくれる。一神教の神様は信者に命令するだけだ。」という感じのコメントをされていました。なるほどなぁと思っているのですが、かなえてくれないのは自分たちが罪の状態にあるからだ、と考えるのですから、相当にきつい宗教だと思います。キリスト教ではどこまで解放できているのでしょうか。2017/10/09